週刊誌『日経ビジネス』で書籍、演劇、美術などカルチャーに関するトピックを集めたシリーズです
シリーズ
CULTURE

775回
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『付加価値のつくりかた』~働き方を変え、生産性を上げる
キーエンスと聞くと、社員の給与が異様なほどに高い、という印象がまずは浮かんでくる。その次に浮かぶのが、なぜ給与を高くできるのかという純粋な謎である。
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『直立二足歩行の人類史』~二足歩行によって得た「利他の心」
著者は、古人類学者。古人類学とは、私たちはなぜこのような存在なのか、という人類にとって「最大にして最も大それた疑問を扱う科学」であり、本書は「いかにして二足歩行がわれわれを人間たらしめたか」を、化石記録や人体の解剖学的変…
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『年収443万円』~日本の生活者の現実を浮き彫りに
タイトルにある「443万円」とは、1年を通じて働いたこの国の給与所得者の平均年収の金額。しかし、正社員と正社員以外に分けてみると、それぞれ508万円・198万円と大きな差が出るし、全体の「平均値」ではなく、大きい順に並…
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『異彩を、放て。』~「福祉」を再定義。常識を変える挑戦
2018年に岩手で設立されたヘラルボニー。知的障害者の手によるアートをビジネスに転換する企業だ。創業経営者である双子の兄弟、松田崇弥と松田文登が起業の理由とこれからの構想を縦横に語る。自分たちがやろうとしていることが何で…
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『あなたの職場に世界の経営学を』~著者・宍戸拓人氏に聞く
最新の経営学を職場に生かす技法を具体的に記しています。本書で特に伝えたかったのはどんなことでしょうか。経営学者の一人として世の中を見渡すと、「経営学の理論がビジネスの現場であまり役に立っていない」と感じることがありました…
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『転生』~時代に翻弄された皇帝らの姿を描く
本書は、膨大な資料と取材によって「満州国」皇帝だった愛新覚羅溥儀、弟溥傑と妻嵯峨浩、慧生(えいせい)と嫮生(こせい)姉妹の「人生を辿ることで、まぼろしの国『満州国』にアプローチする試みである」(著者)。歴史の結果は分かっ…
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『教養としての「ラテン語の授業」』~「叡知(えいち)」に触れる営み
このタイトルで適切なのだろうか?本書を読み進めながら、そんな疑念が幾度も頭をかすめた。ソウルの西江大学で行われたラテン語の授業の内容をまとめたものだが、語学の勉強のために手に取ると落胆するに違いない。これだけではラテン語…
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『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』~ファスト教養は教養ではない
手っ取り早く知識を獲得してライバルに差をつけたい」「そうしないと競争から脱落してしまう」──。欲動や不安に駆られた昨今の学習のあり方を著者は「ファスト教養」と名づけ、批判的に考察している。
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『太陽の子』~置き去りにされた子どもたち
1970年代、アフリカ中部にある一大資源国・コンゴ民主共和国(旧ザイール)に日本企業が進出、鉱山開発のために多くの日本人が働いていた。そこで、日本人男性と現地の女性によるミックス・ルーツの子どもたちが数多く生まれたが、事…
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『レッド・ルーレット』~「赤い貴族の国」の実態とは
あまりの嫌悪感に気分が悪くなった。本書に描かれた中国の「赤い貴族」(共産党高官など特権階級)と彼らを取り巻く人々の欲望、裏切り、陰湿な権力闘争そして超がつく贅沢(ぜいたく)な生活に、である。
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『WHITE SPACE ホワイトスペース』~スケジュールは埋めすぎない
正直に言ってしまえば、この本は読みにくい。例やメタファーも、海外の本であるということもあり、分かりにくい。けれども、この本は、読むべき本だと思っている。そもそも、本は服でいえば、フリーサイズで誰にでも合うように作られる。…
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『格差の起源』~人類の繁栄と不平等の起源に迫る
本書の目的は経済人類史2つの大きな問題を解くことにある。第1に、何がこの200年間の急激な成長をもたらしたのか。第2に、なぜ格差が生まれたのか。この大きな問いに、著者は同じロジック(=統一成長理論)を使って大きく答える。
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『農家はもっと減っていい』~岐路に立つ日本の農業への提言
ニューヨークや東京暮らしを経て、数年前から京都に住んでいる。京都に来てしみじみ感じるのが野菜のおいしさだ。私の住む界隈には田畑が多く、「朝採り野菜」の無人直売所もあちこちに。知人から畑で収穫したばかりの有機野菜を分けても…
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『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析』
ウクライナ軍のトルコ製ドローンが戦果を上げている。ジャベリンが活躍して次々とロシアの戦車部隊を損傷させている。巡洋艦「モスクワ」が沈没した。こうした報道があると、様々な情報が瞬時にネットに出回る。戦争という事象はまかり間…
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『人口大逆転』~労働力減少が招くインフレ社会
世界は今、驚異的なインフレに怯(おび)えている。ついこの間まで、好景気、低金利、株高を謳歌していた世界は一変した。その原因はコロナ禍とロシアとウクライナの戦争だと考えていたが、本書を読み、それは浅はかな理解であると悟った…
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『ストーリーが世界を滅ぼす』~「物語」が持つ危険性を意識する
タイトルを見ると、警鐘本のように見える。僕も「ストーリーに操られないようにしよう」というメッセージを伝えるための本だろうと思って読み始めた。
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『GE帝国盛衰史』~権力の集中がガバナンスを危うくする
東芝は日本を代表する重電メーカーであり、コーポレートガバナンスにおいても高評価を受けていた。だが不正会計が発覚し、解体の憂き目に遭った。本書はその東芝と歴史的に資本・技術関係が深い米国を代表する企業GE(ゼネラル・エレク…
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『「なりたい自分」になるシンプルなルール』~人は自らを変えていけるか
モデルとして長いキャリアを持つ著者。スポーツウエアがよく似合うのは、この人の日常生活が異様に健康的だからだ。空き時間があれば、とにかく走る。10km、20km走るのはごく普通。自転車が大好きで、ロードレーサーで旅行に出か…
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『ウンコの教室』~「食べて、出すの繰り返し」から見えるもの
海外から戻ってきた人に「トイレどうだった?」と聞けば、何らかの珍しい体験談が出てくる。多様な食文化は日本にいるだけでも知ることができるが、食べた後にどう出すかについてはあまり情報が入ってこない。「衣食住」だけではなく「便…
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『ハヤブサ消防団』~「発見」を楽しみながら書いた物語
銀行や企業で働く人の葛藤を描き、胸のすく物語として世に送り出してきた池井戸さん。新作はガラリと趣を変えて、山間の小さな町が舞台になりました。
WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
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テスラが仕掛ける電池戦争
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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