<b>[ しなだ・ひであき ]1956年生まれ、北海道出身。80年小樽商科大学商学部卒、味の素入社。味の素冷凍食品取締役、味の素加工食品部長、取締役食品事業本部長などを経て2016年6月から現職。60歳。</b>(写真=清水 真帆呂)
[ しなだ・ひであき ]1956年生まれ、北海道出身。80年小樽商科大学商学部卒、味の素入社。味の素冷凍食品取締役、味の素加工食品部長、取締役食品事業本部長などを経て2016年6月から現職。60歳。(写真=清水 真帆呂)

 これまで36年の会社生活のうち、11年を味の素労働組合の専従で過ごしました。忘れられない経験をしたのが、労組委員長に就任した1997年。社員による総会屋への利益供与事件が発生し、創業90年を前にした祝賀ムードが一気に吹き飛びました。

 会社上層部への不信感を募らせる社員と、対応に苦慮する経営陣。その板挟みになりながら、社内をまとめて社会的信用を回復するのに奔走しました。まず自分を信頼してもらわないと先に進みません。社員一人ひとりと、納得がいくまで語り合いました。

 この時の経験を通じて、人はどのように全身全霊を傾ければよいかを学びました。リーダーがここぞという時に私心なく情熱を持って事に臨めば、組織はまとまり、正しい方向に動くものです。

部の垣根崩し会社に活力 コーヒーで「幸せ」に貢献

 その後に出向した子会社の味の素冷凍食品では主力商品の冷凍ギョーザを、味の素に戻ってからは中華メニュー用調味料「クックドゥ」の回鍋肉の売り上げを伸ばす計画を立てました。いずれもロングセラー商品でしたが、当時は販売が伸び悩んでいました。原料調達から、営業に至る全ての人を巻き込んでチームを作り、一丸となって取り組み目標を達成しました。部門の垣根を越えた協力体制が、強い現場力と高い生産性を生むことを実感しました。

 味の素ゼネラルフーヅ(AGF)に来て感じたのが、組織のセクショナリズムの強さです。改善に向けて、まずは部署ごと、その後は20~30人の人数で、社員を集めてミーティングを繰り返しています。できるだけ自分の生の声を伝え、情報の共有を図っています。

 デジタル革命が進み、人間の仕事は徐々にロボットが担うようにもなるでしょう。そういう時代になるほど、人間の心の幸せや、親子、友人、恋人とのコミュニケーションが大事になります。そこに当社のコーヒーが貢献できます。コーヒーを通じて安らぎを提供し、幸せにも貢献できます。AGFを活力のある企業にして、お客様にも元気をもたらしたいのです。