高級時計の「価値」を伝える 世界で勝てるブランド築く

1957年生まれ。80年に早稲田大学理工学部を卒業し、服部時計店(現セイコーホールディングス)に入社。2012年セイコーウオッチ取締役に就任し、17年4月より現職。59歳。(写真=稲垣 純也)
時計業界は、昔から景気や為替の影響を受けやすい業種といわれてきました。ここ数年は中国人による「爆買い」や「アベノミクス」などに背中を押されて、当社も2016年3月期まで6年間、増収を続けてきました。しかし昨年の初めごろから様子が変わりました。円高で「インバウンド需要」が急速にしぼみ、「スマートウオッチ」などの新しい競合も台頭してきた。その結果、17年3月期は減収減益に陥りました。
環境の変化自体はどうしようもありません。大事なのは、そうした外部環境の変化に負けずにグローバル市場で勝ち続けられる、「強力なブランド」を築き上げること。それがマーケティング畑を歩み、CMO(最高マーケティング責任者)を兼務する私のミッションです。
今年、大きな決断をしました。旗艦商品の「グランドセイコー(Grand Seiko)」(右の写真、高橋社長が着用)を、リーズナブルなイメージが強いセイコーブランドから切り離して、高級ブランドとして独立させたのです。3月に発売したモデルから文字盤の「SEIKO」のロゴを外しました。今期から、スイス勢が席巻している世界の高級ブランド市場に本格的に打って出る。女性向け商品も拡充し、売り上げを現在の3倍に引き上げます。
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