「偵察」がM&A成功のカギ 自動ドアは欧州から開く

<b>[てらもと・かつひろ]<br/>1979年東京大学経済学部卒、神戸製鋼所入社。2007年ナブテスコ入社。営業や企画畑を経て、17年3月から現職。長期休暇にはスキューバダイビングを楽しむ。兵庫県出身。61歳。</b>(写真=陶山 勉)
[てらもと・かつひろ]
1979年東京大学経済学部卒、神戸製鋼所入社。2007年ナブテスコ入社。営業や企画畑を経て、17年3月から現職。長期休暇にはスキューバダイビングを楽しむ。兵庫県出身。61歳。
(写真=陶山 勉)

 今後の成長を考える上で、海外は避けて通れません。思い出深いのは2010年秋から11年春にかけて注力した、スイスの自動ドアメーカー、カバギルゲンAG(現ギルゲンドアシステムズAG)社の買収です。買収額は約200億円と、当時のナブテスコにとって連結売上高の1割を超える大型案件でした。私は自動ドアなどを手掛ける事業部門の企画担当幹部として、初期段階から関与しました。

 ギルゲンが売りに出るようだとの情報を察知した私は、いても立ってもいられず、少人数で欧州に飛びました。雰囲気を知るため、スイスの同社工場を外からでも一目見ようと思ったのです。

 最寄駅で待っていたのは、タクシーではなく羊の群れ。あまりに牧歌的な風景に一抹の不安を抱きつつ、羊を眺めながら徒歩で工場へと向かいました。周辺から隠密裏に「偵察」したつもりでしたが、後から聞くと、ギルゲンの幹部に発見されていたそうです。

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