低収益から脱却目指す 小売業と太い絆を

<b>[ だいの・てるゆき ]<br/>1983年、一橋大学経済学部卒、キリンビール入社。2005年フォアローゼズディスティラリー社長、16年キリンホールディングス常務執行役員として経営戦略を担当。17年3月から現職。57歳。</b>
[ だいの・てるゆき ]
1983年、一橋大学経済学部卒、キリンビール入社。2005年フォアローゼズディスティラリー社長、16年キリンホールディングス常務執行役員として経営戦略を担当。17年3月から現職。57歳。

 キリンビールに入社してから34年。ビール以外にも多様なお酒に携わってきましたが、ワインとは縁が薄かったですね。メルシャンは、キリンホールディングスの傘下にあります。私は直近、この持ち株会社で経営企画を担当しました。酒類事業の多角化を進めるため、焼酎や缶チューハイの戦略を練ってきました。

 初めて社長業を経験したのが40代のときです。グループ会社で、ウイスキーを扱う米フォアローゼズディスティラリーの社長に任命されました。印象に残っている仕事の一つは、同社の米国事業の立て直しです。戦前は全米でナンバー1のバーボンブランドでしたが、事業拡大に伴う品質低下が災いし、かつての勢いはなくなっていました。この状況を残念に思っていた蒸留所のメンバーと共に、プレミアムバーボンを新たに開発しました。ケンタッキー州で販売し始めたのは、バーボンの本場で売れれば、チャンスが広がると考えたからです。3年目に同州で一番評価されるプレミアムバーボンに成長し、米国市場全体でフォアローゼズブランドの復活につながりました。このように稼げる戦略を提示して、従業員と一体で創意工夫していくということを、メルシャンでも実現したいです。

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