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吸水性の高い独自の透明フィルムで、水と肥料、農薬の使用量を劇的に減らせる農業を実現する。糖度や栄養価など、商品としての価値も向上させられることから導入が拡大。世界展開も見据える。

(写真=中央:陶山 勉)

 神奈川県平塚市にある実験機器商社、池田理化(東京・千代田)のオフィス。一角にある実験室の扉を開けると、養分を含んだ水の上で野菜が育てられている光景が広がる。一見すると、単純な水耕栽培の実験のようだが、実は違う。野菜の根と養分を含んだ水の間には、厚さ数十マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの透明なフィルムが存在する。

 この透明フィルムこそ、安全で栄養価の高い野菜を低コストで育てられるという“魔法”のような効果を持つ。独自のフィルム農法を開発したのはメビオール(平塚市)というベンチャーだ。

トマトの糖度を2倍に

 メビオールが開発した透明フィルムは、「ハイドロゲル」と呼ばれる保水性に優れたゲル状のフィルム。肉眼では確認できないナノ(ナノは10億分の1)メートル単位の無数の穴が開いており、水や養分などの小さな分子のみを吸収する。水中の菌やウイルスなどサイズの大きい物質はフィルムで遮断される。こうすることで野菜の根がウイルスなどに感染することがなくなり、水の交換がほぼ不要になる。