金属でありながら、手で好きなように曲げて形を変えられる食器が売れている。もともとは仏具や花器などを手掛けていた鋳物メーカーが、伝統産業の殻を破り挑戦を続けている。

<b>錫(すず)製のぐい飲みやグラス</b><br>錫は抗菌性が高い。また錫の器は、酒の味をまろやかにするといわれる。奥の「KAGO」は手で曲げて、好きな形状にすることができる。(写真=江田 健一)
錫(すず)製のぐい飲みやグラス
錫は抗菌性が高い。また錫の器は、酒の味をまろやかにするといわれる。奥の「KAGO」は手で曲げて、好きな形状にすることができる。(写真=江田 健一)

 今、富山県高岡市に大勢の人が訪れる新観光スポットがある。鋳物メーカー能作が4月に開いた新社屋だ。商品の展示・販売スペースのほか、工場見学や製造体験コーナーまで併設され、産業観光施設となっている。オープンからわずか4カ月弱で、4万2000人以上が訪れた。能作克治社長は「想像以上の来場者数でうれしい悲鳴」と笑う。鋳物メーカーといっても、昔ながらのイメージはない。展示しているのは、自社で商品化したぐい飲みなどの食器やインテリア雑貨だ。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1939文字 / 全文文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「フロントランナー 小なれど新」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。