リノベーションが注目される中、低価格に加え、自社サイトで入居者探しまで手掛ける。独自の戦略が支持され、各地の「築古」物件から声がかかる。

上・右下(写真:菅 敏一)
上・右下(写真:菅 敏一)

 「まさかあの部屋がこんなに早く決まるとは」と福岡県住宅供給公社の川邉文久調査役兼募集係長は驚きを隠せない。その物件とは最寄り駅から歩いて10分かかる、57m2で和室が中心の3LDK。築37年目で、5階建ての4階部分なのに、エレベーターはない。完成当時は定番の間取りだったが、今は人気がない。風呂や台所といった水回りも古くなり、かれこれ6年半は空室状態が続いていた。

 ところが7月になって、この物件に入居者が決まった。その理由はリノベーションにあった。リノベーションとは部屋の原状回復だけでなく、壁や押し入れを取り外して間取りを変えてしまうこと。完成前に入居者が決まる人気物件に様変わりした。家賃は月5万4800円と前回と同じままで割安感を作り出した。

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