手触りや質感などの「高感性」を打ち出した合繊生地は、海外の高級ブランドの注目の的だ。縮小する国内市場、急成長する中国の繊維製品をものともせず、海外市場を自ら切り開く。

手触りや質感にこだわる。
型崩れしにくく、撥水性に優れた超高密度の合繊生地。だが、高級ブランドに選ばれる理由は、機能性よりも高い質感にある。
海外の販路を自ら 開拓した第一織物 の吉岡隆治社長。 (写真=try do camera)

 クルマでJR福井駅から約20分。郊外にある第一織物の本社を訪れると、整然と並んだ何十台もの織機がけたたましい音を立てながら生地を織り上げていた。資本金2000万円、社員数は52人。会社の規模こそ典型的な中小企業だが、同社の作る生地を目当てに、世界中の高級アパレルブランドが遠く福井にまで日参する。顧客に名を連ねるのは、高級ダウンジャケットで有名な伊モンクレールや仏ルイ・ヴィトンなど世界的なブランドばかりだ。

 かつて日本国内で栄えた繊維産業は中国への生産移転によって急激な空洞化が進む。そんな中、第一織物は世界のアパレル市場に進出して、強烈な存在感を放っている。

合繊なのに麻や綿の質感

 第一織物の主力商品は、超高密度で織り上げたポリエステル製の合繊生地だ。だが、高級ブランドを魅了しているのは撥水性や耐久性などの高い機能性だけではない。