つるつるした光沢、高級品──。従来のシルクのイメージを抜本的に変える製品を開発した。天然素材の優れた機能を損なわず「洗濯機で洗える」シルクが、国内外から高い評価を得る。

京都市の嵯峨嵐山から桂川に沿って電車でさらに西へ進むこと15分。亀岡市千代川町に絹糸(シルク)の染色や加工を専門とする山嘉(さんか)精練がある。豊富な水資源に恵まれた千代川町の地で創業したのは1970年。先祖は京都御所の中で天皇陛下などが使用する織物を製作していた御寮織物司(ごりょうおりものつかさ)だったという。企業としての歴史は50年に満たないが、絹を扱い始めた起源は1555年にまで遡る。

古くは着物、現代ではネクタイやウエディングドレスなどに使用されるシルク。高級品のイメージが強く、最近は生活習慣の変化に伴い需要は低迷する。着物市場は1981年の1兆8000億円程度から2015年には3000億円規模に減少。ネクタイもクールビズなどのカジュアル化で市場が縮む。高価で日常生活で扱いにくいシルクは次第に敬遠されるようになってきた。
さらに、中国製の安価なシルクが市場を席巻したことで、国内の蚕農場や製糸場は軒並み事業撤退を余儀なくされている。
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