会費を払い会員登録すると、高級肉を使った料理などが割安で食べ放題に。肉料理専門店のほか洋食店、コーヒー店と業態の幅も広がっている。

東京・西新宿の路地裏の一角にある肉料理専門店「29ON(ニクオン)」。昨年10月にオープンした店だが、入り口に目立った看板はなく、店の存在を知らないと見つけるのは難しい。
中に入ると大きな肉の塊がテーブルに置かれ、スタッフが来店客に提供する食材の説明をしていた。
この日、店が用意したのは「東京ビーフ」。日本一人口が少ない村として知られる伊豆諸島南部の青ケ島(東京都)で生まれ、東京近郊で育った高級牛肉だ。年間の出荷量はわずか60頭。その希少価値の高さもあり、グルメの間でひそかに人気を集めている。
原価率は50%
29ONは外食業界では珍しい完全会員制のレストランだ。永年会員になるための会費は店舗ごとに異なり、西新宿の店舗では1万円程度(既に会員の募集は終了)。
会員は東京ビーフや等級で上位ランクの肉が毎回5000円で食べ放題になる。2時間制限の2部制で、1種類のコースメニューに組み込まれた10品ほどの料理のほか、メニューにある一部の肉料理を追加で自由に食べられる。飲み放題を付けると約8000円。会員1人につき同伴者3人まで利用できる。
29ONを運営するのは、飲食店のマーケティング支援を手掛けるfavy(ファビー、東京都新宿区)。同社が会員制の飲食店を運営する狙いは2つある。
まずはコスト削減だ。完全会員制にすることで、店は集客のための広告投資が不要になる。メニューを絞り込むことで食材の仕入れや店舗の運営が効率化され、食材の廃棄ロスが抑えられるメリットもある。
そうしてコストが減った分を、高級食材の仕入れに充てるのがもう一つの狙いだ。飲食店では一般に食材の原価率は30~35%程度とされるが、29ONでは50%と高い。会員は4~5回利用すれば、会費の元が取れる計算になるという。
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