どの業種を目指すか。気になる企業の実態は──。 短期決戦の就活では効率的に情報収集できるかが大事だ。 コツさえつかめば膨大な情報の中から適切な判断材料を探しやすくなる。

 幅広い業種の中から自分に合った企業を探し出すことが、就職活動の第一歩となる。世の中に様々な情報があふれる中、価値ある情報を効率的に集めることが無駄のない就活につながる。

 「銀行と証券の違いを理解しないまま、金融というだけでとりあえず応募してくる学生が少なくない」。大手証券の採用担当者は顔を曇らせる。就活生が情報収集の手間を惜しみ、中途半端に動けば限られた時間と労力を浪費してしまう。それは、対応する企業にとっても同じことだ。

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 興味を持った企業について調べるのは難しいことではない。基本となるのがその企業の公式サイトだ。創立の経緯から現在の事業構成まで、基本事項が一通り説明してある。企業によって出来不出来があるため、同業他社と見比べることで理解がより深まるだろう。

中期経営計画を見逃すな

 企業を選択する上で有益なのが将来ビジョンだ。「中期経営計画(中計)」といった名称が一般的で、IR(投資家向け広報)などのコーナーに出ている。5年先、10年先を見越して、その企業がどのような成長戦略を描いているかが詳しく書かれている。例えば、首都圏地盤の東京地下鉄(東京メトロ)の中計では「ベトナム・ハノイ市をはじめ、海外への鉄道インフラ輸出を強化しているなど、知ってほしい情報が凝縮している」(人事部の大槻裕毅氏)。

 中計の内容は単に面接での話題作りだけでなく、実際に入社してからの人生に直接影響する。中長期的な方向性を把握しておけば、「自分のやりたいことと違っていた」というギャップが生じる可能性も低くできるだろう。

 上場企業であれば「有価証券報告書(有報)」も有用だ。「EDINET」というサイトから、誰でも無料で閲覧できる。

 基本的に投資家向けの資料だが、その会社の平均年間給与や平均年齢、平均勤続年数など、労働条件に関する記載も多い。自分の希望する水準や同業他社と比べて数値が極端に高かったり、低かったりしている場合、どうしてそうなのか、良くも悪くも背景を調べておいた方がいいだろう。

 有報は業績や財務関連の内容も豊富だ。ここに出てくる数字のツボを押さえれば、単にイメージするだけでなく、企業の稼ぐ力や健全性などを客観的に眺めることができる。

 業績や財務で株式市場や金融機関のプロが注目するポイントはいくつかある。例えば本業のビジネスで現金収入がどれだけあるのかを示す「営業活動によるキャッシュフロー」。「増加傾向か安定的であればまずは一安心」(国内証券アナリスト)と言える。

 自己資本比率も大事だ。急激な景気悪化や想定外の損失などが発生した際、どの程度、耐えられるのかを測る目安となる。業種によって正常値の相場は異なるが、一般的には10%を割り込んでいたら要注意だ。こうした情報は企業の公式サイトのIRコーナーにある「決算短信」でも参照できる。

 企業動向を調べるなら、手前味噌となるが日本経済新聞社が提供する記事データベース「日経テレコン」が有効だ。新聞や雑誌などに掲載された膨大な情報の中から、必要なものを検索できる。有料サービスではあるものの、大半の大学では就職課などに無料で使える端末が置かれているはずだ。

 日経テレコンで情報を引き出すコツがある。例えば志望企業の海外展開を調べたければ、社名とともに「投資」「買収」「海外」といったキーワードを加えて検索する。するとその企業による工場建設や戦略的な買収、海外展開などを報じた記事が効率的に探し出せる。

 就活事情に詳しい採用コンサルタントの谷出正直氏は「参考材料として転職者向けの口コミサイトを使うのも手だ」と指摘する。例えば、「Vorkers(ヴォーカーズ)」には現役社員や元社員が勤務先の内情を書き込む。

 同サイトは30日で1000円かかるコースもあるが、入社何年目で年収がいくらになるかや人材の育成方法など、実際に働く人の声は参考になるだろう。ただ、様々な情報を活用しつつ、最後は自分の価値観で判断することは言うまでもない。