学生との接し方を勘違いしている企業もある。都内の私立大学に通う女子学生は、新興の不動産会社で気味が悪い経験をした。この企業は「お互いをよく知り合ってこそ面接」というモットーがあるらしく、就活生を苗字ではなく名前で呼んだ。さらに面接では敬語を使わず、「タメ口」で会話した。

 茶髪でチャラい感じの面接担当者に「ユカ(仮名)はさ~、自分の強みに気付いてないよね」といった調子でなれなれしく接してきた。この女子学生は「初めて会った相手に私の何が分かるのか。正直、気分が悪くなった」と打ち明ける。面接は通過したが、不信感がぬぐえず、その企業の選考を辞退した。

 不快というレベルを通り過ぎ、「圧迫面接」とも言うべき対応をする面接もある。神奈川県の私大生は、ある大手製造業での面接が忘れられない。

「マニュアル通りにありがとう」

 部屋には3人の面接担当者がおり、真ん中の人は最初から足を組んでいた。学生時代に頑張ったことを聞かれたので、大学で専攻していた機械工学の話をしたが、話し終える前に「はい、マニュアル通りの回答、ありがとう」と不気味な笑顔で話を遮られた。

 その後も「その研究って何がすごいの?」とバカにしたような質問が続いた。この就活生は「今でも思い出すと腹が立つ」と語るが、怒るのも当然だろう。プレッシャーを受けた状況でどんな対応をするかを見極めるため、厳しい態度で面接をする企業はある。ただ、度が過ぎれば、「面接ハラスメント」と批判を受けてもしょうがない。

 就活支援サービス会社の担当者は、「面接担当者は現場の社員が動員されることが多い。彼らは業務のプロかもしれないが、面接のプロではない。人の話を聞き出すのが下手だったり、学生に対して上から目線で対応してしまう人は、一定数いる」と指摘する。

 一生を左右する選考でおかしな面接担当者に出くわしたら、「運が悪い」では済まない悔しさがある。ただ、そんな社員がいる会社は、入社しても苦労するのは間違いない。早めに損切りできたと思い直し、別の会社に目を振り向けよう。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1039文字 / 全文文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「SPECIAL REPORT」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。