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低い手数料を武器に急成長したインターネット証券業界が壁に突き当たっている。産声を上げてから20年、価格競争は限界に達し、提供するサービス内容も大同小異。限られた投資家層を相手にするだけでは成長は見込めず、大胆なビジネスモデルの転換が求められている。

(写真=松井氏:柚木 裕司、松本氏:的野 弘路、北尾氏:竹井 俊晴、斎藤氏:時事)

 八方塞がりなんですよ。次の収益につながるこれといった『飯の種』が見つからないものですから……」

 今年創業100年を迎えた松井証券の松井道夫社長は、自社の経営方針や、ネット証券の今後について問われると、神妙な面持ちでこう切り出した。

 松井証券といえば、今から20年前の1998年5月、日本で初めてインターネット証券を立ち上げたパイオニアである。大正7年(1918年)の創業で小規模ながらも老舗証券会社として業界でそれなりの存在感を示していたが、4代目に就任した松井社長は当時主流だった対面型の証券サービスを周囲の反対を押し切って廃止。ネット取引に特化する道を選んだ。当時1.0~1.2%だった株式の売買委託手数料率を0.3%と3分の1に引き下げ「業界の風雲児」と呼ばれ、その後のネット証券隆盛に道を開いた。