スタバ、マック、ユニクロばかり

 落とす理由は、ESの中身からも探される。自由記入欄で文字数が少なく空白が多い、手書きの場合に字が汚い、文字が小さいなど読みにくいESは論外だ。文字数を満たしていても人事から評価が低いのが「学生時代の実績」と「バイト自慢」の2つだ。

 学生時代の実績では野球など部活動を頑張ったことを書くケースが多いが、「内容のバランスが取れていないESが目立つ」(商社)という。バランスとは行動と振り返りである。「小学校は野球で地区優勝、中学でも優勝、高校では甲子園一歩手前、大学でも軟式野球で大学ベスト4など実績ばかり。こちらが知りたいのはその経験から何を学んだのか、それが読み取れない」(商社)。

 ESには具体的な数字を盛り込めとよく言われるが、それでも数字の客観性が乏しいケースは嫌われる。「学園祭のイベントで200人集客したと言われてもピンとこない」(IT企業)。

 「バイト自慢」も注意が必要だ。人事担当者がよく聞く3大バイト先が、スターバックス、マクドナルド、ユニクロだ。話の展開としては店舗の売り上げを上げた、チームリーダーとしてアルバイトをまとめたなどと話が似通ってしまう。「同じ話を何回も読まされるので、よほどでないと埋没して評価は低くなる」(商社)。

 東日本大震災の直後はボランティアの経験談が多かったが、最近ではインスタグラムなどSNS(交流サイト)のフォロワー数を自慢する学生が目立つ。「発信力が大きいことをアピールしたいのは分かるが、正直何がすごいのか分からない」(精密)。なぜか毎年、自転車日本1周話も出てくるという。

面接前から勝負は始まっている

 ESを通過すると面接へと選考が進むが、面接会場以外の場所でも就活生をチェックしている企業は驚くほど多い。一番よく見ているのが受付だ。

 ある日用品メーカーでは、受付でも学生の態度に目を光らせている。普通であれば、挨拶をした後に大学名や氏名を名乗るが、態度が悪い学生がいれば受付担当から面接担当に連絡が入る。「面接では極めてハキハキして礼儀正しい学生だったので、そのギャップに驚いた」(人事担当者)。その企業は素直さや誠実さを重視しているだけに、当然落としたという。

 やる気を見せようと集合時間に早く来すぎるのも逆効果だ。受付でブースを作ろうとしたら既に就活生が並んでいた。「慌てて面接の時間を聞いたら、まだ1時間30分もあった」(商社)。

 記憶したことばかりを話そうとする就活生も敬遠される。そうした場合は、「大学のゼミで勉強してきたことを30秒で説明して」など不意を突いた質問を面接担当者から受ける。「就活生が対策するのは分かっている。こちらも対策している」(商社)。

 ある人事担当者は「1日数十人と面接していると、同じ話が何度も出て飽きてくる」と本音を漏らす。ありがちなのは「社会インフラを支えたい、海外で電気や水の貴重さを知ったから」といった話だ。飽きている担当者に耳を傾けさせる「何か」を持っていないと、躊躇なく「×」を付けるということだ。

 学生は友人や先生が自分の話を聞いてくれるのが当たり前だと思いがちだが、ビジネスではそうではない。聞かせる工夫がないと競争は勝ち抜けない。

 学生の常識が通用しない典型がスマートフォンの使い方だ。あるサービス業の人事担当者は就活生が面接中に質問をスマホでメモするのを目にした。「常識に欠けるので即、落とした」。

 ここまで極端な例は少ないが、就活生をスマホ世代だと色眼鏡で見ている人事担当者は少なくない。例えば面接の控室でのスマホ利用は最小限にとどめるべきだろう。就活生にすればESや資料を見ているつもりでも、「面接前にゲームでもしているのではないかという目で見てしまう」(IT企業)。

面接やグループディスカッションでの失敗事例
面接やグループディスカッションでの失敗事例

 グループディスカッションは「面接では見えない素顔を見るために実施している」(広告会社)という狙いを知ったうえで臨みたい。発言が少ない、他人の話を聞かない、議論の流れに沿わない発言をしている学生には厳しい評価が付く。「内容がまともだとしても、話が長いと困る」(同)との声もある。

 「公務員が民間企業からお歳暮をもらっていいか」など賛否が明らかな内容をあえて賛成・反対に分けて議論させることもある。「結論ではなく、各立場でどう論理構築するかを見ている」(精密)。時間を短くして焦りを誘うケースも多い。厳しい状況の際にどのような表情をするかでメンタル面の強さが見えるからだという。

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