2018年4月入社(現在、大学3年生・大学院1年生)の就職活動がいよいよ始まった。売り手市場と思われがちだが、人気企業から内定を得る難しさは例年と変わらない。採用する企業側の本音を読み解くポイントを、今号から全10回で解説していく。

全体として売り手市場ではあるが、人気企業は依然として競争が激しい(写真=Bloomberg/Getty Images)

 2018年4月に入社する大学3年生・大学院1年生の就職活動「18採用」が始まった。マイナビによると、17採用大学生の「内定率」は今年8月末時点で77.5%で前年同月に比べて8ポイントも高い。結果だけ見れば、学生優位の売り手市場と言える。

 ただ、学生の志望が集中する人気企業については、依然として狭き門であることに変わりはない。「採用の基準は落としていない」(損害保険ジャパン日本興亜)など、大企業の選考は相変わらず激戦となっている。

 そうした企業に入りたい学生は、ES(エントリーシート)や筆記テスト、そしてグループディスカッションや面接に至るまで一つもミスが許されない。今号から始まる連載では、採用する企業側の本音を読み解くポイントを具体的に解説していく。

 第1回は企業の人事担当者に直接聞いた、「嫌われる学生」の実例を紹介する。ESや面接は通過しなかったことは知らされるが、何が悪かったのかまでは分からない。先輩の失敗例を知ることで、自分の就活に生かしてほしい。

「TOEICが731点」の怪

 ESはウェブサイトから記入させる企業が増えている。人気企業ではESが数万件も届くのは珍しくない。郵便だと1通ずつ開封する手間がかかるため、ネットでの受け付けに切り替える企業が相次いでいるのだ。ただ、ウェブならではの失敗が頻発している。

 典型例が試し打ちのミスだ。ES全体でどんな設問があるのかを把握するため、記入欄に「あああ…」などと入力してページを先に進めるケースがよくある。その過程で最後の送信ボタンを間違って押すミスが目立つという。

 「単純ミスとは思うが、内容がないので当然落とす」(広告会社)など人事担当者の印象は悪い。ほかにも「TOEICの点数が『731点』と書いてある怪しいESがあった。TOEICの点数は5点刻みなのに。ウソなのか…」(商社)。

 入力している途中で文章が途切れてしまうケースも多い。「コピー&ペーストの弊害なんでしょう。200文字の文字数制限がある欄に、400文字用のテンプレートを使っていたんじゃないですか」(金融)と手厳しい。

 コピー&ペーストの弊害は固有名詞にも及ぶ。毎年繰り返される「あるある失敗例」が社名や商品名の間違いだ。「JRの東西を間違えていたり、私鉄になっていたりするミスはよく目にする。たまに航空会社の社名が書いてあり、戸惑う」(交通)。商品やサービスの名称が競合と似ているケースが多いだけに、注意深く入力したい。

 その企業独自の言い回しにも気を配りたい。例えば、ある商社は「総合職」を「基幹職」、「一般職」を「ビジネスサポート職」と呼んだりする。銀行を「御行」と呼ぶのも同様だ。書き間違えると、「内容を使いまわしたなとスグに分かる」(商社)。特に商社や金融はライバル意識も強いので注意が必要だ。

 ささいなミスに目くじらを立てる必要はないのでは、と考えるのは甘い。数百人の中から1人を選ぶ側の企業からすれば、「何かで優劣をつけないと選びきれない」(IT企業)。人気企業の人事担当者は、「落とす理由」を探すのに躍起になっているのが実情なのだ。

人気企業は「落とす理由」を探している