こうした状況を変えるには、安易な値下げ競争に背を向けて、単価が高い商品・サービスを積極的に提供する。あるいは価格を引き上げ、消費者の支持を得ていく努力が必要だ。現在、国内では幾つか成功事例がある。その共通点は「強いブランド力」、そして「満足度の高さ」だ。

強気の価格設定が奏功
●消費者の支持を集める主な商品・サービス
東京ディズニーランド(オリエンタルランド)
1日券の料金を上げたが企画イベントが好評。客数の微減は天候要因が大きい(写真=Kyodo News/Getty Images)

高機能日用品(花王)
定番ブランドから派生し、機能や付加価値を上げた高単価の商品を開発・販売

スープ「クノール」(味の素)
値上げ後も販売は堅調。リニューアルも進め、秋~冬の最盛期の需要に備える

日用品にも改革余地

 花王が日用品でヒットを連発している。その中心を担うのは、機能や付加価値が高く、価格も高めの商品群だ。

 10月1日に発売したスプレータイプの食器用洗剤「キュキュットCLEAR泡スプレー」。店頭価格は同シリーズの従来品である液体洗剤の2倍はするが、弁当箱の隅やティーポットの注ぎ口など、これまで洗いにくかった溝や隙間が洗いやすいと消費者に好評。これまでの出荷数量は会社計画の約2倍だ。「キュキュット」シリーズの液体洗剤と泡スプレーを一緒に買う消費者も多く、購入額は液体洗剤のみを買っていた従来の3倍になる計算だ。

 4月に売り出した「フレアフレグランスIROKA」も、「フレアフレグランス」シリーズのプレミアム柔軟剤だ。拡大するプレミアム柔軟剤市場の約4割を占める人気商品に育った。10月からは粉末タイプの入浴剤「バブ エピュール」や「ディープクリーン撰 濃密クリーム薬用ハミガキ」も売り出し、ともに好評を得ている。

 花王は日用品で約3割のシェアを持つ最大手。定番ブランドを多く抱え、認知度は高い。多様化するニーズに対応し、機能や付加価値を高めた商品を巧みに開発、販売している。今春以降に発売した上記4商品は、いずれも定番ブランドの派生商品だ。高機能品の販売好調を追い風に、2016年12月期の連結営業利益は前期比10%増の1840億円と過去最高の更新を見込んでいる。

 食品では味の素が今年4月、「クノールカップスープ」シリーズ29品目の出荷価格を4~8%上げた。原料調達コストの増加に対応したもので、価格改定は実に33年ぶりだ。

 「洋風粉末スープの素」市場でクノールのシェアは約75%と高い。値上げ後の4~7月は「冷たい牛乳でつくるカップスープ」シリーズが好調。8~9月は残暑が厳しく主力のホット商品が低迷したが、4~10月の累計では前年並みの販売量を維持した。

 最盛期の秋~冬をにらみ、8月にはクノールシリーズをリニューアル。原料の野菜パウダーを増量、パッケージデザインも刷新して販売増を見込む。