携帯電話市場の成熟や格安スマホの台頭で、販売店の競争が激化している。大手通信会社は販売店を選別する営業政策を強化、身内同士の「弱肉強食」も進む。複雑になる商品説明、深刻化する人材不足……、重くなる現場の負担をどう解消するか。

(写真=上:AFP=時事、中・下:栗原 克己)
(写真=上:AFP=時事、中・下:栗原 克己)

「一体、携帯販売店を何だと思っているんだ」

 KDDIの端末を扱うある販売代理店の社長は憤りを隠さない。米アップルの新機種「iPhone8」の購入予約が始まった9月15日。KDDIの営業担当者から電話がかかってきた。「近隣にあるライバル会社の店舗に価格で負けている。独自で5000円分のプリペイドカードを付けるなどキャッシュバック額を増やしてください」。一方的にまくし立てられ、電話は切れた。

 ところが肝心の費用負担についての説明は全くなし。「『とにかくやってください』の一点張り。事実上、こっちに負担しろと言っているのと同じだ」。この販売代理店社長はため息をつく。結局、自社の持ち出しになった。

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