中堅・中小企業の間でM&A(合併・買収)が急増している。後継者難が背景にあるが、売り手、買い手とも成長の手段とみるケースも出てきた。生産性が低いとされた中小企業が、その姿を変えるきっかけにもなる。

「2人の子供は就職して自分の道を歩いているから無理に跡継ぎにはさせられないし……。長年一緒に働いた従業員もいたけど、体力的に難しいこともあって社長を頼めなかった」
こう言って肩の荷を下ろしたように笑顔を見せる酒井長久氏(62歳)は、東京都内で4店経営していた調剤薬局を昨年末、大手の調剤薬局チェーンにすべて売却した。東京郊外の清瀬市に調剤薬局を出店したのは1997年。以来、約20年かけて同市と都心に店を広げた。売却前の年商は約5億5000万円。経営は安定していたが、還暦を過ぎ、そろそろ第一線を退こうかと考えたところ、肝心の後継者がいなかった。
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