中でも注目を集めたのが、EV(電気自動車)ベンチャーの米ローカル・モーターズが出品した自動運転バス「Olli(オリー)」だ。米IBMの人工知能「ワトソン」を搭載し、乗客との会話が可能。行き先を尋ねたり周辺のグルメ情報を提供したりできる。

 このオリーの製造に3Dプリンターを使った。CFRP(炭素繊維強化樹脂)製のロッカーパネル(ドア下の細長い部品)とフェンダー(タイヤ周りの車体部品)、内装のシート部品だ。

 自動車分野で3Dプリンターを使ったのは、「顧客のニーズに合わせたクルマを作れるから」(ローカル・モーターズ技術者のジェームズ・アール氏)。同社はEVの車体を丸ごと作れる3Dプリンターを他社と共同で開発し、2014年に3Dプリンターで“印刷”した世界初のEVを発表した。新開発の3Dプリンターは、1時間に16kgもの材料を吐出でき、最大で高さ1.8m、幅2.4m、長さ6.1mのものまで作れるため、車体を丸ごと製造できる。

 3Dプリンターは複雑な形状を作るのが得意だ。そのため、従来はバラバラに作っていた部品を一体化できた。同社製EVの部品点数が50点と、通常のEVの約2万点に比べて極めて少ないのはそのためだ。

 工場も一般の自動車工場より小さくできる。ローカル・モーターズは世界各地に「マイクロファクトリー」と呼ぶ小さな工場を造り、その地域の顧客が求める自動車を「印刷」することを目指す。倉庫などの費用もかからず、搬送コストも削減できる。

 独ダイムラーも3Dプリンターを使った自社製トラックの部品製造に乗り出している。今年9月から、バネの樹脂製キャップなどの交換部品30点の製造を開始した。

 これらの部品は修理・交換サービスに必要で、在庫として抱えていなければならなかった。顧客からの要望がいつ来るか分からないため、店舗ごとに在庫を持っていた。

 3Dプリンターを使えば、発注が届いてから個別に部品を生産でき、店舗に無駄な在庫を置く必要がなくなる。ダイムラーは今後、金属製部品にも3Dプリンターを適用する方針だ。

 日本でも斬新な発想で3Dプリンターを活用する事例が出始めている。ソニーが今年8月に出荷を始めたアロマディフューザー「AROMASTIC(アロマスティック)」。平井一夫社長直轄の新規事業創出プログラムから生まれた商品だ。