遅れる電車、届かぬ宅配便……。東京五輪で交通網がパンクする懸念が高まっている。平時から混雑する首都に、五輪関連の約1000万人もの移動が加わるとどうなるか。観光立国を目指すうえで避けて通れない課題だが、対策は遅れている。

 2020年8月某日の朝。自宅から東京・大手町にある会社に向かう僕は、思わずため息をついた。最寄り駅で乗り込んだ電車がいつまでたっても出発しないのだ。車内放送は「混雑のため車両間隔を調整しています」と繰り返すばかり。このままでは確実に遅刻だろう。

 すべてオリンピックのせいだ。ニュースでは「不要不急の外出は控えて」と連呼している。道路輸送が滞ってコンビニの棚は空っぽ。ネット通販も配送利用に制限がかかっている。平和の祭典を開催する意義は理解している。けれど日常生活にこれだけ我慢を強いられると、さすがに不満も募るよ……。