派遣「雇い止め」を起こしたリーマンショックを機に日本の雇用は一変した。正社員と派遣が減少する一方、女性と高齢者、外国人は大幅に増加。急激なリストラは構造的な人手不足を覆い隠し、その後に禍根を残した。
「今月でここでの仕事は終わりとさせてください」

2008年10月初め、竹下良治(仮名)は、自身が登録している派遣会社の社員から突然こう告げられた。
「えっ、どういうこと」。動転した竹下が聞き返すと、社員は申し訳なさそうにつぶやいた。「派遣先が急に人を減らすと言ってきまして……」
08年9月15日に米国で起きた大手投資銀行のリーマン・ブラザーズ破綻から約1カ月。遠い世界のことのように思っていた出来事の余波は、群馬県の電子部品工場で働いていた竹下にも突然襲いかかった。世界経済が急激に収縮し、日本の国内生産も大幅に落ち込んだ。「日本からの輸出数量は、ショック発生から半年で約4割も急落した」(大和総研シニアエコノミストの近藤智也)
この激震がまず壊したのが竹下のような、景気の変動にさらされやすい派遣労働者という存在だった。
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