欧州で今年注目される国政選挙のトリ、ドイツ連邦議会(下院)選挙が9月24日に迫った。難民問題に端を発した反EUの機運は沈静化。好調な経済を背景に与党が勝利する見込みだ。メルケル首相は選挙後のEU統合深化を見据えるが、足元では安定政権への火種もくすぶる。

ドイツ連邦議会(下院)選挙
(写真=Bloomberg/Getty Images)

 9月24日に投開票される。18歳以上のドイツ国民約6150万人が投票する。「小選挙区比例代表併用制」と呼ぶ複雑な選挙方式を採る。有権者は小選挙区での立候補者に投じる票と、比例代表で政党に投じる票の計2票を持つ。

 まず、比例代表の得票に基づき政党別の議席数(定数は598)を決める。各政党に配分した議席に、小選挙区で勝利した者を優先して割り当てる。小選挙区の勝者で足りない分は比例名簿の上位者から補充する。

 小選挙区における勝者の数が比例による配分を上回った場合は、「超過議席」として認める。このため、ドイツ連邦議会の議席数は定数を上回ることが多い。

 私のリーダーシップは、皆さんが一番理解しているはず」。9月24日に控えたドイツ連邦議会(下院)選挙を前に、与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU、以下CDU)を率いるアンゲラ・メルケル首相は繰り返しこう訴えている。

 目下のところ、ドイツ経済は絶好調だ。7月の失業率は3.6%と、東西ドイツが統一して以降の最低水準にある。シンクタンクの独Ifo経済研究所が発表する独景況感指数は7月に116を記録。1991年以降で最高の値となった。十分な実績を根拠に、メルケル首相は「この局面で国の指導者を代えるのは大きなリスク」と、CDU政権を継続させるよう主張している。

もくろみ通りの選挙戦

 今のところ、この主張は国民の支持を得ている。独世論調査会社INSAによれば、9月4日時点のCDUの支持率は36.5%。第2党のドイツ社会民主党(SPD)(23.5%)とのリードを保つ。SPDは連立政権を組むパートナーだが、選挙ではライバルだ。