屋台の爆発に食中毒…。夏祭りの安全性が低下している。原因は露天商業界の弱体化。その裏にあるのは、少子高齢化など日本社会の構造的劣化だ。“日本の風物詩”の危機は早晩、工場や店舗など一般企業の現場にも押し寄せる。

(絵=Bridgeman Art Library/アフロ)

 地中海を代表するリゾート、フランス・ニース。7月14日午後10時30分(日本時間15日午前5時30分)頃、「パリ祭」を祝う花火の見物客の列に1台のトラックが突っ込んだ。約2km暴走した後、運転手が機関銃を乱射。84人が死亡し202人が負傷した。運転手はフランスとチュニジアの二重国籍で、国際テロ組織の関連が取り沙汰されている。

 同様に死傷者を伴う事件・事故が今年は、欧州や「イスラム国(IS)」から遠く離れた日本の夏祭りでも起きかねない──。こんなことを言えば、多くの人は悪い冗談だと思うに違いない。

 だが、キャリア30年、関東を地盤にする非博徒系露天商組織の幹部A氏はこう話す。

 「信じようが信じまいが、現実にそうなんだから仕方ない。そりゃここは日本だから、テロだのトラックだの機関銃だのは、まだ出てこないよ。でも、福知山とか安倍川みたいなことは、どこで起きたっておかしくない」

 この幹部が言う「福知山」とは、2013年に京都府福知山市の花火大会で起きたベビーカステラ屋台の爆発事件のことだ。発電機にガソリンを給油したところ引火。露店3棟が燃え、3人が死亡、59人が重軽傷を負った。

 一方、「安倍川」とは、2014年に静岡県の安倍川花火大会で発生した食中毒事故を指す。O157のため屋台を利用した510人が食中毒に感染した。「福知山」「安倍川」のいずれも責任の所在を巡って損害賠償訴訟に発展。ほかにも、大きく報道されないだけで、「様々な事件・事故がここ数年、日本の夏祭りで増える傾向にある」(A氏)。

 なぜ、楽しいはずの“日本の風物詩”の安全性がここへきて、低下しているのか。

 「少子高齢化とやらで、現場にまともな腕を持った人間がもういないんだわ。ベテランはどんどん引退するし、妙な規制で、もうけも出ねえから若い連中は寄ってこない。まさに日本社会の縮図だよ」(A氏)

急激に縮小する露天商業界
●露天商業界の構造変化