顧客の業種は多岐にわたる。最も顧客数が多いのが農家。シュナイダーでは最大15日先の天候を予測し、いつ種まきや農薬散布、収穫をすれば売り上げを最大化できるかを助言している。大雨やハリケーンなどの災害の発生タイミングを正確に予想できるため、農家は事前に対策を打つことも可能だ。

 航空会社も重要な顧客のひとつ。航空機が乱気流に巻き込まれると突然大きく揺れるために、乗客・乗員のケガや機体や積み荷の損傷が起きてしまう。こうした損失は世界で年間100億ドル(約1兆600億円)に上っていた。現在はシュナイダーの気象予測データに基づいて経路を細かく変更することで、大半を回避できるようになった。

 今、世界では気象予報事業への関心が高まっている。シュナイダーのように異業種から参入する例も少なくない。最大の理由はIT(情報技術)の進化で予報精度が飛躍的に向上したこと。世界中の観測地点から集めた膨大なデータを1カ所に収集し、過去のデータを踏まえて瞬時に解析する。こうしたサービスはITなくして実現できなかった。

 シュナイダーのライフシュナイダー氏は「気象の変化によるコストは努力すれば削減できるものへと変わった。電力などのシステムを顧客に提供する我々の業態にとって、気象予報は大きな付加価値になる」と語る。

 一見すると、気象とは関係が薄そうな業種でも予報データの活用は広がっている。例えば、新商品の生産から納入まで1カ月ほどかかるアパレル企業。これまでは季節の変わり目に合わせて大まかに商品を発注していた。

 「冬物が売れる7度以下」「夏物が売れる18度以上」などのタイミングを1カ月前から正確に予測できるようになり、機会損失や売れ残りを最小限に抑えることに成功している。米国では、こうした気象予報が生む新たな経済効果は年5000億ドル(約53兆円)近くに上ると言われている。

 異業種からの気象予報事業への参入はシュナイダーだけではない。米IBMは今年1月、米気象予報大手のウェザーカンパニーからデータ事業部門などを約2400億円で買収した。ウェザーカンパニーが全世界に持つ約22億カ所の観測地点、4000万台以上のスマートフォンから集めた気象データを、IBMのクラウドサービスに集約。高速処理で瞬時に必要な情報を提供できる基盤技術を築こうとしている。

 IBMはその先にAI(人工知能)ソフト「Watson(ワトソン)」の活用も考えている。どのような気象の時にどんな計算をすれば予測精度が高まるかを機械学習させる。ワトソンとのやり取りを通じ、顧客が求める気象データが分かれば、サービス精度も上がる。

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