ヤマト運輸が、当日配送を縮小・撤退する方向で荷主と交渉を進めている。一方、最大荷主のアマゾンジャパンは、当日や1時間以内といったスピード配送を追求。その動きを商機ととらえる新興勢力が台頭しているが、持続性に危うさもある。

<b>東京・尾山台の「アマゾン プライムナウ」の配送拠点</b>
東京・尾山台の「アマゾン プライムナウ」の配送拠点
<b>東京・枝川のプライムナウの配送拠点では、ドライバーがせわしなく軽車両に荷物を積み込んでいた</b>
東京・枝川のプライムナウの配送拠点では、ドライバーがせわしなく軽車両に荷物を積み込んでいた
<b>生鮮食品販売の「アマゾンフレッシュ」の荷物も見える</b>
生鮮食品販売の「アマゾンフレッシュ」の荷物も見える

 7月上旬、東京・尾山台のアマゾンジャパンの配送センターでは、様々な会社のロゴが入った軽車両が出入りしていた。ここは同社が有料の「アマゾンプライム」の会員向けに、最短1時間以内というスピード配送を提供する「プライムナウ」の専用拠点だ。ここから荷物を運んでいるのは、宅配最大手ヤマト運輸ではない。アマゾンが独自に委託する地域限定の配送業者だ。

 近所に住む初老の男性は、「春にヤマトが当日配送を見直す話が報道された頃から、クルマの動きが活発になっているようだ」と話す。

 ネット通販における宅配の担い手に変化が起きている。発端は「ヤマトショック」だ。ネット通販の急拡大に加えて当日配送のニーズが高まり、ヤマトの宅配ドライバーの負荷が増大。そこに人手不足が追い打ちをかけ、サービス残業の常態化が明らかになった。それを受けてヤマトは構造改革に着手。荷物の取扱量を制限すると同時に、当日配送を縮小している。

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