『日はまた昇る』の著者、英エコノミスト元編集長、ビル・エモット氏の新著が欧米で話題を呼んでいる。「西洋のシステム=民主主義」が、開放性と平等という2つの理念を失い、自壊の危機に瀕しているという。そして、日本に対する強い不安──。西洋は本当に終わるのか。

(聞き手は 本誌編集委員 石黒 千賀子)

(写真=永川 智子)
(写真=永川 智子)
ビル・エモット氏[Bill Emmott]
国際ジャーナリスト
英エコノミスト誌・元編集長


1956年英国生まれ、英オックスフォード大学卒。83年、英エコノミスト誌の東京支局長に就任、93年に同誌編集長。現在、国際ジャーナリストとして活躍。著書に『日はまた昇る』他。

 問 近著『「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために』で、西洋社会が培ってきた「開放性(Openness)」と「平等(Equality)」という民主主義の理念が危機に瀕していると指摘しました。

 答 日本も含めた“西洋”は、これまで外からの攻撃で民主主義が脅かされると思ってきました。ところが、現実には自らが、開放性と平等という重要な2つの理念を壊そうとしています。

 金融危機(リーマンショック)が一つの転換点でした。経済が縮小する中で、強大な業界団体や大企業が、自分たちの都合のいいように社会システムを変質させてしまいました。そのため、多くの一般の人が打撃を被り、社会からの疎外感を感じるようになったのです。米国でドナルド・トランプ大統領が誕生し、英国で欧州連合(EU)離脱が決定したのは、そうした西洋の変化が根底にあります。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3430文字 / 全文文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「SPECIAL REPORT」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。