成果主義の定着や役割定年制の導入に伴い、年下の上司を持つミドルが増えている。かつては「会社員として年貢の納め時」との印象が強かった上司との年次の逆転。だが最近は、諸事情から「年下上司の下で働くこと」を自ら選択する中高年社員も少なくない。年下上司を持つ最大の利点は、年を重ねても現場で自己実現を追求し続けられることだ。無駄な会議が苦手、出世より成果をたたき出したい、まだまだ最前線で戦う自信がある──。そんなミドルのための新しい処世術を提案する。

<b>システム開発会社フェンリルの年下上司、橋本進一郎氏(右)。山下氏とは共通の趣味である漫画の話題でも関係を深める</b>(写真=菅野 勝男)
システム開発会社フェンリルの年下上司、橋本進一郎氏(右)。山下氏とは共通の趣味である漫画の話題でも関係を深める(写真=菅野 勝男)

 「そりゃあ自分にもメンツというものがあるから、3つも年下の人間が直属の上司になると聞いた時にはさすがに複雑な気持ちになった。でもよく考えると、これは僕にとってもメリットがあるなと思い直した」。大阪市に本社を置くシステム開発会社、フェンリル(柏木泰幸社長)で次長を務める山下一志氏(仮名)はこう話す。

「しょうがないか」ですぐ納得

 山下氏は1968年生まれの48歳で、正式な肩書は、管理本部管理部次長。一方、直属の上司である同部の部長、橋本進一郎氏は72年生まれで、今年45歳になる。

 2人の間で逆転人事が起きたのは5年前。当時、山下氏は課長で、橋本氏は課長と同等の役職である室長だった。次長に昇格した山下氏をさらに追い抜かす形で、部長に昇進した橋本氏。最初は困惑した山下氏だったが、「しょうがないか」とも思ったという。

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