林業復活作戦❶
何でもいいから 販路を拡大する

 鹿児島の志布志の場合、反撃ののろしは2011年4月、近隣にある3つの森林組合から上がった。宮崎県都城と南那珂、鹿児島県曽於地区の森林組合が合同で木材輸出戦略協議会を設立したのだ。それまでほとんど手をつけてこなかった輸出の拡大を目指したきっかけは、福岡に拠点のある貿易商社から木材の輸出を打診されたことだった。

 どんな産業でも、右肩下がりの状況を打開するには、まずは売り先を増やすしかない。人口減少が進む国内市場に大きな期待ができない以上、残りは輸出しかない。だが、木材業界では長い間、高額の日本製木材の輸出は難しいと考えられており、実際に輸出を検討する事業者も少なかった。

韓国で起きていたヒノキブーム

 ところが試験的に韓国に輸出して、日本産木材を取り巻く状況が以前とは大きく変わっていることに気付く。「経済成長に伴う生活水準の向上で、日本では高値では売れなくなったヒノキ製の家具や住宅資材が韓国ではむしろブームになっていた」(木材輸出戦略協議会の堂園司・会長)。

 こうして本格輸出の第1号となる韓国行きのバルク船が志布志港を出港したのが2011年7月。ここから鹿児島・宮崎の林業の快進撃が始まる。

 韓国に市場があるならば中国はどうか──。そう考えて、市場の開拓を始めたのは2013年。韓国では家具や住宅資材向けのニーズが高まっていたが、中国では、パレットや梱包など工業用資材としての木材が極めて逼迫していた。このため、日本では低質材として砕いて燃料用チップにするしかない木材でも、現地ではより高値で売れることが分かった。

 輸出に手応えを感じた木材輸出戦略協議会は全国的にも珍しい木材専用輸出港の整備を鹿児島県へ提案して了承を得た。この専用港により輸出に一段と拍車がかかっていく。

1.輸出で販路拡大
志布志港にある木材置き場。近隣の山から切り出され造材された丸太がどんどん運ばれる。「輸出量が増えて保管場所が足りない」とうれしい悲鳴も現場から聞かれる(写真=小森園 豪)
●木材(丸太)輸出量
出所:林野庁「木材需給表」
●木材国内生産量
出所:林野庁「木材需給表」

 時を同じくして、政府が、アジアに距離的に近い志布志港を一大輸出拠点として再整備する動きも持ち上がった。今後は、このことも輸出増加へ追い風となると地元の林業関係者は期待を寄せている。

 「森林組合同士、しかも県を超えて協業するのは全国的にも珍しい。だが一定規模の勢力となったことで、輸出先、国や県に対する交渉力も高まった」と堂園会長。将来的にはベトナム、インドなどでの販路も開拓し、さらに輸出量を増やしていく考えだ。

 今、志布志同様の動きが、全国に広がっている。熊本県の八代港、宮崎県の細島港、大分県の佐伯港、北海道函館港なども木材輸出ラッシュに沸く。多くの斜陽産業が国内市場の成熟に苦戦する中、一足先に海外市場開拓に先鞭をつけたこと。これが林業再生の1つ目のポイントだ。