輸入品の流入で「もうからない産業」となり、人材不足も進んでいたはずの林業。そんな典型的な斜陽産業が、ここへきて再成長を開始している。突破口となったのは、「2つの当たり前のこと」を徹底することだった。

鹿児島県志布志市にある志布志港は日本最大の木材輸出港だ。山積みされた丸太がクレーンで次々にバルク船に運ばれる(写真=小森園 豪)

 九州最南端、鹿児島県の中でも「陸の孤島」と呼ばれる志布志市。鹿児島市方面から通じていた志布志線、大隅線が1987年に廃線となり、鹿児島市中心部や空港から車で2時間近くかかる場所にある。鉄道は唯一、宮崎からJR日南線が延びているが、これで鹿児島市へ向かうと宮崎県を経由するため6時間の行程を覚悟せねばならない。

にわかに活気付く陸の孤島

 だが、この人口約3万人の陸の孤島に今、積み荷を満載にしたトラックが殺到している。載せているのは南九州産の木材だ。集められた木材は太平洋に面した志布志港から中国、韓国へ輸出される。

 2015年の日本の木材(丸太)輸出量は69万m3。その約29%に当たる20万m3は志布志港経由で、取扱高は全国1位だ。取材当日も、着岸した中国・上海行きの大型船に次々と丸太が積み込まれ、8ヘクタール(ha)ある木材置場には荷積みを待つ木材が大量に保管されていた。

 「南九州の秘境」が「国内最大の木材輸出港」へ変貌を遂げたのは、2011年頃からだ。最初は韓国、その後は中国向けの輸出が急増した。

 輸出ラッシュに沸いているのは志布志だけではない。日本全体を見ても木材輸出量は2015年まで9年連続で増加した。国内向け出荷も増え、輸出と合わせた総生産量も拡大。1960年代以降年々下落し、ボトムの2002年には1692万m3まで落ち込んでいたのが、2015年には2491万m3まで回復した。

 意外にも、日本の林業はここへきて再成長しているのだ。

 林業といえば典型的な斜陽産業と言われた分野。安価な輸入品の流入で「もうからない産業」となり、3K職場として人材不足も進み、作業者の高齢化も進んでいたはず。それがいつの間に復活していたのか。関係者が打って出た作戦は極めてシンプルなものだった。