ポピュリズムの拡大には、これまであまり言われていない重要な要因があると思う。それはインターネットの拡大・深化の中で情報の流通環境が大きく変わったことだ。

 例えば、代表的なメディアである新聞は日本の場合、ややリベラルなA紙から、やや右派っぽいB紙までの違いくらいしかなかった。テレビは、どこもほぼ似たようなものでばらつきはなかった。

 では欧米はどうか。新聞などで多少左右の広がりはあっても、状況は似たようなものだった。

 こうした環境では、極端な意見や考えはメディアで取り上げられる段階でふるい落とされ、人々の前にあまり出てこなかった。議論をするのに有用だと思えるものをメディアが選別していたからだ。

 ところがネットの拡大・深化は、その状況を劇的に変えた。極端な意見でも人々の目に触れるし、それをわざわざ選ぶネットメディアもある。

 一方、人の情報収集能力には限界がある。膨大な情報があったとしてもすべてをチェックして選別することはできない。見ることのできる量は限られている。この時、人は情報自体が持っているアピール力に弱くなる。激しい言動や主張に目が向きやすくなるのだ。もちろん、バランス感覚のある人は、それだけでは同意しないだろうが、これまでなら人々の前にすら出てこなかった「1%の人しか言わないような意見」が目に触れるようになると、近い意見を持つ人たちが近づき、さらに膨れ上がっていく現象が起きる。

 こうした現象を繰り返していくうち、「1%の人しか言わないような意見」は、次第に強化されて人々の意思決定の選択肢に入っていく。