極端な主張や政策で人々を引き付けるポピュリズムが世界に広がる。原因は何か。グローバル化の蹉跌、格差拡大などが通説だが、そればかりではない。ネットの拡大による極論の増大、対立に無防備な社会構造…。意外な原因が浮かび上がってきた。

世界に広がるポピュリズム。左はドナルド・トランプ米大統領、右は英国のEU離脱派(写真=左:Bloomberg/Getty Images、右:Jack Taylor/Getty Images)

 もうたくさんだ。メキシコ自身がすべきことを彼らは何も考えていないんだ」

 昨年の米大統領選。ドナルド・トランプ候補(当時)は、メキシコ国境に壁を建設し、不法移民を閉め出すと声を張り上げ続けた。ここにきてメキシコ相手の荒い鼻息はやや落ち着いたものの、一方でイスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令を出すなど、トランプショックは続く。

 こうした動きに対し、米国内からも批判の声は上がるが、トランプ大統領の支持率はさほど落ちない。それどころか喝采を送る支持者も多い。

ポピュリズムがさらに広がる?
●今年の世界の主な政治日程
注:日本貿易振興機構の資料などを基に本誌作成

 欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)をイエスとした昨年6月の英国の国民投票、そして11月のトランプ候補の当選…。

 世界を今、ポピュリズム(大衆迎合主義)が覆っている。自国に有利な貿易協定、移民規制、財政赤字をものともしない大型減税、インフラ投資。支持者受けする政策の数々は、極端で従来の政治の常識を超える。

 だが、もはや「まさか」ではない。どんな人物が政治の表舞台に出てくるか見通しがつかなくなっている。今年は重要な選挙が欧米、アジアで相次ぐ。フランスは大統領選と国民議会選が4~6月にかけて実施される。大統領選では、極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が有力候補となった。3月に総選挙を実施するオランダも反イスラムを掲げる自由党が有利な情勢だ。

 なぜ今、ポピュリズムが世界を覆うのか。グローバル化による格差拡大が原因だとの分析が多いが、識者の中には異なる見立てがある。その声に耳を傾けてみよう。