不正会計問題の発覚から経営危機に陥った東芝。再建に向け、昨秋には米投資ファンドを中心とする「日米韓連合」に半導体子会社を売却することで合意、12月には第三者割当増資も完了した。これにより、2018年3月期に2期連続の債務超過となる事態を回避し、上場維持にもメドが立った。ただ、不正会計はこれまでも日本企業で繰り返されてきた。他山の石とするには東芝の事例から何を学ぶべきか。同社がつまずく発端となった「バイセル取引」について、公認会計士で、証券取引等監視委員会の委員も務める浜田康氏に問題点を解説してもらった。

証券取引等監視委員会委員、公認会計士
浜田康氏
大手監査法人で代表社員、理事を務め、2014年6月退職。15年4月~16年12月、青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科特任教授。16年12月より現職。
(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 今回、バイセル取引を取り上げるのは、これが明らかに財務諸表の虚偽記載であるにもかかわらず、「虚偽記載とまでは言えないのではないか」と誤解している方々が、企業経営者をはじめ産業界にいらっしゃるからである。

 会計について正しい理解をすることは、企業における意思決定、情報開示などに関して、投資家や経営者が正しい判断をするために欠かせない。会計とは、本来シンプルなものであったはずだが、理論面での整備などが進むとともに、むずかしい側面も出てきた。詭弁を弄して黒を白と言いくるめるやからもいないではない。そうした詭弁を見極めるためにも、正しい理解をし、確固たる認識を有することが重要である。本稿ではそうした思いから「誤解」の誤解たる理由をつまびらかにしていく。