外国人労働者を雇用している企業が入管難民法違反に問われる事例が増えている。昨年実施された入管法改正で取り締まりの基準が大幅に強化されたためだ。外国人を雇う上で企業が安易に実施してきたごまかし行為はもう通用しない。

 中堅小売りチェーンの労務担当者が、ぶぜんとした面持ちで行政書士の事務所を訪れたのは昨春のこと。相談内容は外国人店員の就労ビザについてだった。ビザの期限が迫ったため更新を申請したところ、入国管理局に却下されたのだ。入管が開示した却下の理由は、この社員を同時期に東京・銀座から郊外の店舗に配置換えしたことだった。

(写真=時事通信フォト)
(写真=時事通信フォト)

 というのも、この外国人店員が持っていたのは通訳の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)。訪日観光客の対応に迫られる銀座の店では、業務の大半は通訳と言ってよかった。だが、外国人の来客が少ない郊外の店舗では、通訳として働く機会は少ない。通訳ビザの社員を通訳業務がほぼない部署で雇用しようとするのは嘘、と入管は判断したのだ。

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