「きつい経験」はメンタル確認

 面接で必ず尋ねられるのが学生時代の経験だ。特に「一番きつかった体験は何か」を聞かれることが多い。あるサービス業の人事担当者は「きつかった体験だけでなく、それに逃げずに立ち向かい、どう乗り越えたかまでを聞く。粘り強い人間であるかどうかを知りたいためだ」と質問の意図を明かす。

 学生時代の苦難を尋ねる質問でこの会社が知りたいのは、その人にリーダーシップがあるかどうかや、行動力がどれくらいあるかではない。質問の意図とは異なる方向でアピールしても、得点になるどころか、マイナスの評価を受ける可能性すらある。

 同じくサービス業の採用担当は、全く違う意図で同じ質問をするという。「学生時代に一番きつかったとする体験の中身や、それを話している際の表情を見ている。ストレス耐性が高いかを見るためだ」。どの程度の体験で負荷を感じていたのかや、顔をゆがませるなどの嫌がり具合で判断する。

 この質問には伏線がある。ウェブテストと同時に実施する性格テストでストレス耐性の数値を見ておき、「平均値より低い人が本当にメンタル面で弱いのかどうかを、実際の面接で確かめる」(同採用担当者)という。

 「あなたの長所と短所を教えてください」──。これも就活の面接では鉄板の質問だ。メガバンクの採用担当者に質問の意図を聞くと「就活生の人柄を知るためです」と優等生的な返事だった。それならば長所だけを尋ねればいいのではないか。同じ質問をするという広告会社の採用担当者に、本音を聞いてみた。返ってきた答えは「短所をどのように答えるかを観察するためですよ」という。

 「短所=不利」と考えて、当たり障りのない回答をする就活生が多い。典型的なのが「慎重すぎるところです」「時間をかけて考えてしまうところです」という回答だ。

 率直に短所を答えているように見えるが、この採用担当者は「質問を逆手にとって、よく考えて行動する人だということをアピールしたいだけでしょ」と指摘する。短所も含めて自分を理解しているか、それをそのまま話せる素直さがあるかを見ているのだという。「慎重とか言ってけむに巻くような回答をする就活生はそもそも信用できない。善しあしを判断する以前の問題だ」とかなり厳しい評価を下す。

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 面接は最後まで気を抜けない。面接官は時間が余ったふりをして、「最後に、逆に何か質問はありますか」と就活生に尋ねることがある。この質問をするIT企業の採用担当者によると、「会社で働きがいを感じるのはどんな時ですか」とか「福利厚生は充実していますか」といった質問が多いという。

 就活生にしてみれば、想定していなかった質問に戸惑ってしまうかもしれない。ただ、この最後の質問は就活生が自己アピールできる最後のチャンスと捉えるべきだ。この採用担当者も「この人を採用したら活躍しそうだという印象を、最後にぜひ残してほしい。逆質問で会社の採用ページで調べられるようなことを尋ねる人に、企業側がどんな印象を持つかを想像してみたらいい」と辛口の採点だ。

 「志望する企業について熱心に調べてきたことがうかがえる質問や面接でアピールできていない部分を伝えられるような質問をされると、意図をきっちり理解している就活生だと感心する」とこの採用担当者は考えている。

 コミュニケーションは相手の意図を理解して初めて成り立つ。自分のアピールしたいことをしゃべるだけでは、実績があっても面接を通過するのは難しい。

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