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6年近く続いた減収傾向に歯止めをかけ、AI(人工知能)とクラウドで反転攻勢をかける。10月には約4兆円を投じて米レッドハットを買収すると発表、米アマゾンなどに対抗する。量子コンピューターにも注力。IBMを作り替えることが使命だと語る。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=村田 和聡)
PROFILE
[Virginia Rometty]米ノースウエスタン大学でコンピューターサイエンスおよび電気工学を学び、1981年にIBMに入社。米プライスウォーターハウスクーパースのコンサルティング部門の買収などを成功に導いた。IBMの営業部門の責任者などを経て、2012年1月にIBMの社長兼CEOに就任。同年10月に会長、現在に至る。

 問 激動の2018年が終わります。19年の世界はどうなると予測していますか。

 答 おそらく変革の1年になると思います。多くの企業が今、データを使っていますよね。各社はそれらのデータを使いながら、どう競合他社と差異化していくかを考えています。とはいえ、世の中には検索可能なデータは20%しかありません。残り80%は企業や政府が保有しています。つまり、この企業や政府の中に埋もれている80%分のデータを上手に活用できれば、他社との違いを打ち出せるようになります。

 そうした企業の中から(それまでの業界秩序やビジネスモデルを変える)ディスラプター、つまり破壊者が出てくるでしょう。どの企業にもチャンスはあります。ただし、データを活用する企業は、テクノロジーの“善い”原則を採用する企業と、“悪い”原則を採用するところに分かれていく。19年はその分岐点になるかもしれません。

 問 “善い”原則とは何ですか。

 答 新しいテクノロジーをどう利用するのかを明確に示すことです。例えば、私たちIBMは3つの原則を公表しています。1つ目は、人間がやれることをより拡張するためにテクノロジーを使うという目的に関する原則。2つ目はデータはお客様が所有するという原則です。データやAI(人工知能)が集めた情報は顧客企業のものです。