海運市況が低迷する中で、日本の海運3社によるコンテナ船事業の統合を決断した。各社の強みを持ち寄り、コスト削減を進めて、収益の改善を狙う。ITを活用した安全運航支援技術などを開発し、サービスも進化させる。

(聞き手は 本誌編集長 飯田 展久)

(写真=村田 和聡)
PROFILE
[いけだ・じゅんいちろう] 1956年生まれ。79年東京大学法学部卒業後、同年、大阪商船三井船舶入社。98年MITSUI O.S.K. LINES (EUROPE)LTD.(ロンドン勤務)。99年ナビックスラインと合併し、商船三井と社名変更。2001年、経営企画部副部長。2004年、人事部長。2007年、定航部長。2008年、執行役員。2010年、常務執行役員。2013年、取締役 専務執行役員を経て、2015年、代表取締役社長に就任。長野県出身、60歳。

コンテナ船事業の統合で上位6社の固まりに入った。
1100億円の統合効果は短期間で達成できる。

 問 10月に商船三井と日本郵船、川崎汽船の日本の海運3社がコンテナ船事業の統合を発表しました。売り上げが大きい主要事業の統合になります。記者会見では今年の春くらいから急に議論が具体化したと話していました。

 答 正直なところ、当社のコンテナ船事業は、ずっと非常に厳しい状況でした。抜本的な解決策としていろいろな選択肢を考えていて、その中には完全撤退もありました。パートナーを見つける場合も、いくつもの選択肢があり、社内では2008年のリーマンショックの前から検討していました。

上位6社と下位の差が広がる

 問 赤字が続いて、撤退も選択肢だった事業を続ける意義は何でしょうか。

 答 基本的には収益性がある事業だという結論を下しました。撤退しなかったのは、統合で規模を拡大し、シナジー効果を出せば競争力を高められると考えたからです。今後コンテナ事業の環境自体も変わってくる中で、競争力を高めて事業を続ければ、まっとうな収益が入ってくると判断しました。

 問 それでも統合会社の事業規模は、世界6位にとどまります。どのように競争力を高めていくのでしょうか。

 答 欧州系の上位2社は抜きんでていますが、他の4社にはそこまでの差はありません。6社の固まりの中に入っていることが重要なのです。仮に我々が統合した後に、他のグループが動かなければ、上位6社と、それ以下の差がかなり広がることになるでしょう。顧客から見たときに、コンテナ会社の中で、一定の規模を持った大きなプレーヤーであって、安定性があり、信頼の置ける会社であるということが、一番大事ではないでしょうか。

 問 生き残りに向けた最終決戦が始まっているということですね。