既存の投資ファンドと一線を画す独自の手法で企業の経営改革を支援する。大江戸温泉やすかいらーくなど、国内で順調に投資実績を積み上げてきた。商社出身の日本代表が、投資と企業再生への手応えと日本への熱い思いを語った。

(聞き手は 本誌編集長 飯田 展久)

(写真=陶山 勉)
PROFILE
[すぎもと・ゆうじ]1969年生まれ、神奈川県出身。92年に慶応義塾大学経済学部卒、三菱商事に入社。ベンチャーキャピタル投資などを手掛ける。米ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士号。米投資会社リップルウッド・ホールディングスを経て2006年に米ベインキャピタルの日本オフィスを設立、現職。

大江戸温泉も「お値段以上」のサービスを提供したい。
日本で積極投資続ける。ヘルスケアなど新分野も視野。

 問 事業の選択と集中や、M&A(合併・買収)など産業界の現状をどう見ますか。

 答 「アベノミクスの新しい成長戦略のもと、コーポレートガバナンス(企業統治)改革とスチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)の導入で、上場企業の経営者の意識が、いかにバランスシートを効率よく使い、収益を上げるかに向くようになりました。ある意味、欧米的な流れです。これが、中核事業により集中し、非中核事業は売却する流れにつながったと思います」

 「こうした状況で、我々のようなPE(プライベートエクイティ)と呼ばれるファンドの存在感が上がってきていると思います。PEはMBO(マネジメント・バイ・アウト)に代表されるように、経営陣と一緒に、友好的に株式を取得します。ガバナンスをしっかり安定させて、経営陣とともに経営の改革や事業の成長をサポートしていく投資の仕方です」

 「ベインキャピタルは、中核事業に集中したい大企業の受け皿になります。非中核事業の経営陣がこのままグループにとどまっても成長資金を振り向けてもらえない。であれば、我々のようなファンドと組んで改革、成長投資を進めようという動きにもつながります」

 問 他にファンドが求められる案件はどのようなものがありますか。

 答 「もう一つの流れは事業承継ですね。創業者が高齢になり後継者もいない。あるいは所有と経営を分離させたいというニーズが数多く存在します。そうした時に我々が株式を譲り受けて、必要であれば外部から経営陣を招く。あるいは内部の経営陣と一緒に事業を成長させるやり方もあります。この2つの流れから、今、加速度的に相談が増えています」