インターネット業界から投じられたN高等学校という一石。業界の風雲児とも言える川上量生氏がその中心にいる。川上氏の目的とは何か。踏み込んで聞いた。
(聞き手は 本誌編集長 飯田 展久)

こうすれば勝てるという具体的な武器を与えてあげたい。
プログラマーならすぐに就職できる課外授業を提供。
問 そもそも、なぜIT(情報技術)企業が教育事業を始めたのですか?
答 もともと、外部からの持ち込み企画だったんですね。高校を作りたいとプレゼンテーションしてくれた人がいて。最初は『何でうちがやらなきゃいけないんだ』と思いましたが、話を聞いていくうちに、実はうちがやる意味はある、と思うようになりました。
というのは、不登校の子たちというのは、たぶん家に引きこもってずっとインターネットをしている。そして、ドワンゴの『ニコニコ動画』がそういう人たちに楽しみを与えているというのは、僕らも実感として持っていました。そして、KADOKAWAのライトノベルの読者でもあると。
(ドワンゴとKADOKAWAが経営統合をした)カドカワだったら、そういう子たちが『ここなら本当に行ってもいい』と思えるような高校を作れるかもしれないと考えたんですね。
もう一つは、通信制高校がそうした不登校の子たちの一つの受け皿にはなっているのですが、日本の社会の中では低く見られているのが現実です。
でも僕らIT業界の立場から言うと、どう考えても教育が、ネットとコンピューターを使った“通信”教育になっていくのは明らかだと思っているわけです。最終的には、むしろ普通の学校の方がなくなるのかもしれないし、そもそも通信制の学校に引きこもりの子ばかりがいることがおかしいんだから、ここは本腰を入れてやってもいいと思いました。
やるなら普通の生徒も志望校にしたいと思える高校を作ろう。ネット時代のエリートを作る学校にしよう。そう決めて作ったのが、N高等学校です。
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