世界最大の機関投資家が、日経ビジネスの単独インタビューに応じた。企業の成功条件として社員との「心のつながり」を挙げ、「使命」による経営の重要性を説く。排他的な発言を繰り返す米トランプ大統領には厳しい評価を下した。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=竹井 俊晴)
PROFILE
[Larry D.FINK]1976年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA(経営学修士)取得。米ファーストボストンのマネージングディレクターなどを経て、88年に7人のパートナーとともに米ブラックロックを設立。現在の運用総資産は600兆円を超え、日本株だけでも26兆円以上を保有する。

企業は長期的視野、そして使命を持たなくてはならない。
世界で唯一、不確実性が高まっているのは米国だ。

 問 世界中の投資先企業に毎年、送っている手紙に、今年は「従業員の満足度が会社の成功を決める」というメッセージを盛り込みました。

 答 世界最大の運用会社として様々な企業に投資する中で、良い会社、悪い会社を見てきました。その中でも『極めて良い会社』は他と何が違うかというと、社員が感情的に会社に帰属意識を持っているかどうかが重要なわけです。単に何かを売るのではなく、社会的な目的があるんだということを感じて、その上で会社のためにやっていこうという帰属意識があると、非常に良い業績を出し、株価を上げることが分かっています。これはビッグデータを使って様々な分析をして証拠が出ているんですが、特に若い人にその傾向が顕著ですね。逆に、社員がその仕事や会社を嫌っていると株価が低迷する、という結果も出ています。

 良い経営をしている企業は、社員が感情的なつながりを持っています。なので、私も今年の手紙の中で『取締役会は社員とのつながりを重視し、常に対話していかなくてはならない』と盛り込みました。会社の目的、将来的に進む方向を常に示し、それが明確に伝われば魅力のある会社になり、より優秀な人材を集めることができます。ブラックロックであろうと、米グーグルであろうと、社員との心理面、感情面でのつながりをいかに培っていくかというのが極めて重要になってくるということです。