長らく業績が伸び悩んできた米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)。元CEOの復帰と退任など紆余曲折の末、昨年11月に登板したテイラー氏。後継本命と言われたエースは「消費者がボス」の社是を深掘りする。

(聞き手は 本誌編集長 飯田 展久)

(写真=菅野 勝男)
PROFILE
[David Taylor]1980年にP&G入社。ベビーケア、ファミリーケア、ヘアケア、ホームケアなどの中核事業を担ってきた。グローバル事業を率い、北米、欧州、アジア地域に赴任経験もある。2015年11月から現職。58歳。

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 問 昨年11月にCEO(最高経営責任者)に就任し、8月には就任後初めて、2016年6月期の通期決算を発表しました。売上高は為替の影響で前期比8%減の652億9900万ドル、純利益は49%増の105億800万ドルでしたが、結果をどう見ていますか。

 答 今までの会社の歴史の中でも最も大きな変革の時期を迎えています。今回の決算は、目標とする最終地点には到達できていないものの、意味のある前進を遂げられたと思っています。製品ラインアップ、サプライチェーン、企業の組織文化も、これからの成長に向けて大きく変換を遂げた年だったと言えます

 問 36年間、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)に務めてきたテイラーCEOから見て、現在、会社が置かれている状況をどう評価していますか。

 答 ローカルレベルでも、グローバルレベルで見ても、過去5年間ほど、私たちを取り巻く環境が激変した時代はありません。企業として変身を迫られる中で、時代に合わせて、商品のカテゴリーとブランドも見直しました。200近いブランドと15のカテゴリーを持っていましたが、それを段階的に65のブランドと、10のカテゴリーへと集約したのです

 2014年には『アイムス』や『ユーカヌバ』などを擁するペットカテゴリーを米マースに売却しました。ブランドについても、今年10月1日に美容関連の43ブランドを化粧品・香水大手の米コティへの売却が完了しました。へアケアブランドの『ウエラ』や、化粧品の『マックスファクター』、香水の『グッチ』や『ドルチェ・アンド・ガッバーナ』などが対象となっています

 問 結果として、どのような事業構造になりましたか。

 答 現在のブランドラインアップを見れば、年間売上高が10億~約100億ドルのブランドが21ブランド、将来10億ドル規模へと成長が期待できる5億~10億ドルのブランドが11ブランドあります。このうち、家庭用洗剤の『タイド』や柔軟剤の『ダウニー』などを含む『ファミリーケア』カテゴリーは年間で207億ドル、おむつの『パンパース』などを含む『ベビー、フェミニン&ファミリーケア』は185億ドルの売上高があります