貧困の削減を目標に掲げ、アジアの途上国の経済成長を資金面、ノウハウ面から支えてきた。地域レベルの協力と友好関係に果たした役割は大きい。創立50周年を迎え、新たな課題にも取り組む。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)
PROFILE
[なかお・たけひこ]1978年東京大学経済学部卒、大蔵省(現財務省)入省。米カリフォルニア大学バークレー校経営大学院修了。財務省主計局主計官(外務、経済産業、経済協力担当)、国際局長などを経て2011年財務官。国際金融や米国事情に詳しく『アメリカの経済政策』(08年、中央公論新社)など著書、論文多数。13年4月28日より現職。

2020年代に絶対的貧困をなくしたい。
莫大なインフラ需要支えるには民間の力が不可欠。

 問 アジア開発銀行(ADB)は創立50周年を迎えました。この間、アジア地域は世界でも類を見ない目覚ましい経済発展を遂げましたが、ADBが果たした役割は何だったのでしょうか。

 答 1966年の設立当時、アジア・太平洋地域は1人当たりの年間所得がラテンアメリカの4分の1以下、100ドルほどの貧しい地域でした。韓国はアフリカのガーナより1人当たりGDP(国内総生産)が少なかったですし、シンガポールはスリランカより発展が遅れていました。リー・クアン・ユー氏は『シンガポールもコロンボのようになりたい』なんて言っていました。それが今はどうでしょう。アジアは世界のGDPの3分の1を占めるまでなりました。90年代以降、10億人を超える人々が極度の貧困状態から抜け出しています。

 経済成長を通じた貧困の削減というADBの目的に対し、資金面と専門的知識を組み合わせてバックアップしてきました。『お金がないから助けてやる』と単にお金を貸すのではなく、途上国が発展の段階に応じて直面する問題に対応できる知識や技術、ファイナンスを与えつつ、彼らの国の仕組み、制度自体を強くする方向に持っていくようにしています。