レンタル店から書店、家電まで──。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の定義が難しくなっている。衰えぬ起業家精神で小売りの新事業を打ち出す増田社長に「何の会社ですか」と聞いてみた。ネット時代に生き残るための戦略を練る「企画屋」の将来を語った。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=的野 弘路)

 問 4月にオープンした銀座最大級の商業施設「ギンザシックス」内に「蔦屋書店」を出店しました。高級ブランドショップが居並ぶ中、大型書店が入るのは異例です。採算は合うのでしょうか。

4月20日にオープンした「ギンザシックス」に「蔦屋書店」を開業した(写真=的野 弘路)

 答 合う。合わせますよ。どうやって書店のビジネスモデルを変えるかということです。書店に併設させて、ぼくら自身が経営するスターバックスコーヒー、アートの展示スペースなども合わせて全体で利益を出します。スターバックスも特別な仕様に変えています。米国のスターバックス本社に直々にお願いに行って、世界一アーティスティックなスターバックスを、銀座のうちの店に合わせて考えてほしいといいました。ものすごく手間をかけてドリップで入れるコーヒーなども提供しています。

 問 CCCはすでに、書籍販売でも日本最大のネットワークを持つ会社になっています。銀座の蔦屋書店は、日本一、もしかすると、世界でも一番コストのかかる店ではないですか。

 答 一番かもしれない。こんなお店ないですよ。

 問 それでも利益を出そうという挑戦ですね。スターバックスの併設以外で、他社の書店にない特徴はどこにありますか。

 答 書籍は6万冊そろえています。アート関連が中心で、数十万、数百万円という独自編集の本を製作しました。日本の文化の良さを発信する本に力を入れています。文具もオリジナル商品を販売します。開業後は、すごいにぎわいで、1カ月の売り上げは8000万円程度になりそうです。

 問 増田社長は、もともとアートに興味があったのでしょうか。

 答 全然ない。最近ですよ。事業として意識し始めたときからです。

 問 開業の準備期間はどれくらいだったのでしょうか。

 答 3年半くらいです。『代官山 T-SITE』という蔦屋書店を核にした商業施設をオープンしたのが2011年12月。その後、銀座でこういう再開発があるという話を聞いたのです。僕はインバウンド消費のことをずっと研究していたこともあって、ギンザシックスの(物販系フロアで)最上階である6階、一番いい場所を全部やりたいと言いました。

 問 デベロッパー側には自ら売り込みに行ったんですか。

 答 そうです。うちの出店は、ほとんど僕らの売り込みです。

 問 相手側は即オーケーでしたか。

 答 いや、全然。銀座は家賃などの条件が厳しく、書店は営業が難しいという認識が広がっていますね。最近も大型の書店が閉店しています。でも僕らは新しいビジネスモデルを提示します。

 問 書店業界全体は、利益率が1%を割っているのではないかといわれているようです。銀座の新店はどれくらいの営業利益率を見込んでいますか。

 答 分からないけど、1割くらい出さないと。チャレンジ目標としてですよ。

 問 今回の新店舗は理想の形になっていますか。

 答 まだ駆け出しです。全然、駆け出し。棚に本を入れているだけではだめなんです。伝えたいメッセージがあって、それを伝えるために本を置かなきゃいけない。