問 主力である百貨店事業の業績は低迷しています。

 答 個人消費が伸び悩んでいるのは確かです。百貨店のメーンの顧客であるアッパーミドル層が、将来に対する不安を抱えていることが根底にあると思います。節約志向というだけでなく、今までは『購入』していたものを、シェアやレンタルで済ますという選択肢も増えています。新しい消費のパターンが生まれており、こうした流れはしばらく続くでしょう。少なくとも、何百万円の時計がバンバン売れる時代には戻らないでしょうね。インバウンド消費は、訪日旅行客数は増えていますが、購入単価が下がっています。

 問 郊外百貨店は、SC(ショッピングセンター)との競争など、厳しい環境にあります。阪急阪神百貨店も、堺北花田阪急(堺市)を7月末で閉鎖します。

 答 北花田は、イオンのSC内にテナントとして出店していましたが、近隣に別のSCが進出し、競合関係から優位性が保てなくなったのです。SC運営企業も、あの手この手で顧客満足を高めようとしています。『遊んでください、買わなくていいですよ、休憩スペースもたっぷりあります』といったように。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が大阪府枚方市で百貨店閉鎖跡に、全く新しい形の百貨店を作るなど、商業デベロッパー以外も参入しています。

 今後、そうした競争にさらされるのは間違いなく、既存の百貨店を変えていく必要があります。そもそも、我々自身が『百貨』を販売しなくてもいいのです。外部への賃貸か、直営の売り場かというのは、ささいなことであり、そうした今までの商慣習にとらわれず、変化を目指すべきなのです。

梅田はどんどん、とがらせる

 問 「阪急うめだ本店」は、旗艦店として今後どのように運営していくのですか。

阪急うめだ本店は、百貨店らしさを追求する(写真=アフロ)

 答 うめだ本店は、どんどんとがっていったらいいと思っています。もう、百貨店でとがれるのは、うめだ本店と伊勢丹新宿店くらいではないでしょうか。顧客にひとつ上の夢を売るような、百貨店の原点を追求していきたいのです。子供であれば、いつもとは違う少し良い靴を履いていって、屋上で遊んで、いつもは食べられないお子様ランチが食べられて、何かを買ってもらえるワクワク感があって。『ちょっと先にある夢』のようなものを見せられる店でありたいのです。大人であれば『こういう洋服を着れば、こういう自分になれるのではないか』と、夢を実現するヒントがたくさんちりばめられているようなイメージです。

 うめだ本店を徹底的に磨き上げる一方、郊外の店舗は『普段使い』してもらえるよう、マーケットニーズに沿った売り場作りをする。そういう位置づけをすれば、まだまだ郊外店もやれると思っています。

 問 阪急阪神グループ共通の「Sポイント」を始めてから、1年近くがたちます。

 答 現在、我々のカードは750万枚発行されています。京阪神地区では、75~80%の世帯に、我々の何らかのカードがある試算です。将来的には1000万枚程度まで伸ばせればいいと思っています。一方、枚数を増やすことよりも、利用率を上げてもらうことを目的にしています。現在は、関西エリアの消費額が27兆円といわれていますが、そのうち1兆円で何らかの阪急阪神グループのカードが使われています。関西エリアの消費の4%くらいに相当しますが、これを将来は6~7%に伸ばしていきたいと思っています。

 現在、関西のGDPは、タイと同じくらいの大きさと言われています。そのエリアを『一網打尽』にするのが我々の目的です。徹底的な市場の深掘りですね。お客様と濃いつながりを保つために、Sポイントは今後、より重要になってくるはずです。