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行動経済学という新分野を切り開いたことにより、2017年にノーベル経済学賞を受賞した。より良い行動を促す「ナッジ」こそ人類社会に必要だと信じ、研究に没頭してきた。相田みつをさんの大ファン。行動経済学との共通点を語る。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=陶山 勉)
PROFILE
[Richard Thaler]1945年米ニュージャージー州生まれ。74年米ロチェスター大学で博士号取得(Ph.D.)。米コーネル大学、カナダのブリティッシュコロンビア大学、米マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院などを経て95年から現職。2002年にノーベル経済学賞を受賞した心理学者、ダニエル・カーネマン米プリンストン大学名誉教授らと共に行動経済学の研究をけん引、自身も17年に同賞を受賞した。

 問 人は合理的に動かないものだと考えて市場や経済を分析する行動経済学の研究で、2017年のノーベル経済学賞を受賞しました。「人には様々なバイアスがある」ことを前提にする行動経済学の考え方にも通じますが、かねて自らを「怠惰」と評していますね。

 答 「親友であるダニエル・カーネマン米プリンストン大学名誉教授がそう言ったんです。『リチャードの一番の長所は怠惰なことだ』って。なぜか分かりませんが、『褒め言葉だ』とも言う。ダニエルによると『本当に重要なことだけ一生懸命やる』からだそうです。それが怠惰という言葉になったのでしょう」

 問 「怠惰」と評される人がノーベル経済学賞を受賞できたのは、なぜでしょう。ご自身も、好きなことに集中して取り組む性格だと分析しているのですか。

 答 「あれこれ空想することが好きなんです。(心を静めて無心になる)瞑想をする人はいっぱいいるけれど、それとは違う。いつも夢見る子供でした。教室で先生が授業をしていても、そっちのけで窓の外を見て、全然違うことを考えていました。ある時点で、その空想をどうすれば生産性を高めることにつなげられるかということを考えるようになりました。それが後々の研究にも影響を与えました」