郊外のロードサイド店──。菓子の製造小売り「シャトレーゼ」の店舗には、そんなイメージが強い。だが今、東南アジアの都市部を中心に、海外で急速に店舗を増やしている。その強さを支えているのは、衰退がささやかれる日本の郊外で磨いた事業モデルだ。

シンガポールの店舗は、週末の夕方になると、家族連れが大勢訪れ、ケーキやアイスが売れる(写真=原 隆夫)

 「どのケーキにする? 新商品もおいしそうね」。週末の夕方、シャトレーゼの店舗には、ひっきりなしに客が押し寄せ、ホールケーキやアイスクリームなどが飛ぶように売れる。ただし、そこで飛び交う言葉は日本語ではなく、英語だ。ここはシンガポールのショッピングセンター内の店舗。シャトレーゼ海外営業部の渡邊秀太朗氏は、「日本だとホールケーキは1日に5個ぐらいしか売れないが、シンガポールでは10個ほども売れる」と笑顔を見せる。

 1954年に典型的な地方の“お菓子屋さん”として、今川焼きの販売から商売を始めたシャトレーゼ(山梨県甲府市)は、現在は洋菓子や和菓子、パンなど幅広い商品を手掛ける。商品は自社で製造し、フランチャイズ方式で広げた全国の店舗に届け、販売してきた。店舗数は国内で495店で菓子の製造小売りとしては最大級だ。

 だが、これまで郊外のロードサイドを中心に事業をしてきたために、都市部の消費者にはあまりなじみがない。そんなシャトレーゼがなぜ、日本の「郊外」とは何の共通項もないような「海外の都市部」で急速に店を増やすことができているのか。その答えは、日本の郊外で磨かれたシャトレーゼの事業モデルにある。