修理の当日完了率は1割上昇
データ分析による故障内容の予想により、修理の当日完了率はガス機器全般で8割から9割強に向上。部品交換が必要なケースが多い給湯器修理でも5割から7割まで高まった。


IoT(モノのインターネット化)により、あらゆる器具や場所にセンサーが取り付けられる時代。産業界では膨大なデータをビジネスに生かそうという動きが広がっている。一方、データサイエンティストなど分析ノウハウを持つ人材の不足も指摘され、実際の活用は思ったようには進んでいない。
こういった状況で、データ活用に携わる企業関係者の間で注目を集めるのが大阪ガスだ。國政氏の所属するビジネスアナリシスセンターの前身が発足したのは、ビッグデータという言葉が登場するはるか以前の1990年代後半。データ分析を使ったビジネスの効率化に早くから取り組んできた。IT業界では同社のことを「日本最強のデータ分析集団」と称する者もいる。
大阪ガスにとってデータ分析の必要性はここへきて高まっている。エネルギー業界で始まった自由化によって強い逆風にさらされているからだ。
これまで許認可制だったガス・電力業界は、地域独占に守られ各社は安定収益を確保できた。それが、2016年に電力、17年にガスの小売りが自由化され、地域や業種を超えた事業参入が可能となると、戦乱の時代が始まった。
関東では、東京電力と東京ガスがお互いの電気・ガスの顧客を取り合うほか、JXTGエネルギーなどの異業種が参入。大阪ガスも中部電力と手を組み共同出資会社を設立し、既に3万6000件の顧客を獲得している。
各社入り乱れた状態は、お膝元の関西も同じ。むしろ関東以上の激戦区となっている。大阪ガスは既存のLNG(液化天然ガス)発電所などを活用し電力販売に本格参入。77万件の顧客を獲得したが、1年遅れでガス自由化が始まると環境は一変。17年3月時点で622万件だったガスの契約件数が、1年半で571万件と約50万件も目減りした。
主な要因は最大のライバルである関電の値下げだ。今年に大飯原発3、4号機が再稼働したことを受け、7月に平均5%の電気料金値下げを敢行。大阪ガスも対抗して値下げに動いたものの、電気・ガスのセット価格は関西電の方が標準的な家庭の場合で数%安い水準となっている。議論が分かれる廃炉費用を除くと、原発稼働によって発電コストが大幅に低減できるためだ。
そのあおりで10月30日に大阪ガスは19年3月期の経常利益予想を従来の700億円から560億円に大幅下方修正した。これは前期に比べても27%低い水準にとどまる。ガスの原料となるLNG価格の高騰という一時的な要因に加えて、関電などに顧客が流出したことが収益を圧迫している。
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