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ガスや電力の小売り自由化で、従来のすみ分けが崩壊。業界は乱戦模様に。顧客の奪い合いに直面する中、光明を見いだすのはデータ分析による経営効率化だ。修理時間の短縮や燃料調達コストの削減など、専任の担当者が現場に足を運び具体策を積み上げる。

京セラドーム大阪のすぐそばには大阪ガスのガスタンクが並ぶ(写真=菅野 勝男)

 11月上旬、大阪ガスのビジネスアナリシスセンターに所属する國政秀太郎氏(30)は、大阪市西区の京セラドーム大阪の横にある同社事業所で、作業着を着た技術職員と向き合っていた。

 「このデータを使えば、どれだけビジネスへのインパクトがありますか」「一番、作業員の皆さんに使い勝手の良い方法は何でしょう」などと矢継ぎ早に質問を投げかける。

 議論しているのは、データを使ったガス設備のメンテナンスシステムをどう構築するか。同社では産業用、家庭用の両方で顧客のガス設備の稼働データを分析し、故障の予測や修理対応の効率向上に生かしてきた。

 例えば家庭用では、契約住戸のガス給湯器の使用年数や毎日のガス使用量、使う時間帯など、幅広い情報を集め、分析している。従来は故障が発生した場合、修理作業員が現場に到着してから原因を調べていたが、データ分析によって、事前にどのような故障が起きているか予想できるようになった。

ビジネスアナリシスセンターの國政秀太郎氏。データを活用した業務効率化を手掛ける(写真=水野 浩志)

 コールセンターに連絡が入った際、その顧客が使用している機器の状況や電話でのやり取りから、保守センターの端末には、故障の原因となっている可能性の高い順に5つほどの部品が表示される。修理を担当する職員はそれを基に補修部品を用意して現場に向かうため、一度の訪問で修理を済ませられるケースが増えた。

日経ビジネス2018年11月19日号 58~62ページより目次