コーセーが2016年度、営業利益額で業界の盟主である資生堂を抜いた。強さの源は創業家4代目、小林一俊社長のトップダウン経営にある。化粧品開発の「目利き」だけでなく、稼ぐための事業改革でも指導力を発揮する。

<b>ドラッグストアで「ネイルホリック」の存在感は高い。写真は、マツモトキヨシ池袋 Part2店</b> (写真=都築 雅人 )
ドラッグストアで「ネイルホリック」の存在感は高い。写真は、マツモトキヨシ池袋 Part2店 (写真=都築 雅人 )

 東京・日本橋のコーセー本社。11階の役員会議室で小林一俊社長が向き合っていたのは、外尾秀人・コンシューマーブランド事業部長と、20代の女性企画担当者だ。

 「本当にそんなに色の種類が必要なのか」。小林社長は、念を押すように尋ねた。女性社員は「ネイルは色が勝負です。40色程度で世界観を出すのは難しい。69色は絶対に必要」と力説した。同社が2015年2月に新たに発売したネイルブランド「NAIL HOLIC(ネイルホリック)」の企画会議での一幕だ。

 企画案が型破りだったのは色数だけではない。「中毒」を意味するホリックという名称、そして若者を狙って1個300円にするという安値も業界の常識を超えていた。

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