ベンチャー企業に乗り込んで材料を提案し、一緒になって新しい価値を作り出す。自動車・電機といった大口顧客からの注文を受けるだけでは成長はない。市況に翻弄された反省から今後目指すのは、顧客のイノベーションを助ける友人のような存在だ。

超小型電気自動車の素材を開発する三井化学の研究者、山岡宗康氏(右)とリモノの伊藤慎介社長(左)。(写真=的野 弘路)

 流線形の小さな「日の丸飛行機」がアフリカの大空を駆け抜ける──。ロボットベンチャーのZMP(東京都文京区)とソニーモバイルコミュニケーションズ(同品川区)の共同出資会社が開発するドローン(無人飛行機)。アフリカなどの発展途上国で薬やワクチンを輸送することを想定し、今年末にはルワンダでの初飛行を計画している。

ZMPと共同開発するドローン(上)と、人間と共存する産業用ロボットのイメージ写真(下)(写真=下:朝日新聞社)

 最高時速100km、連続飛行時間約10分間が現在の性能。ZMPの谷口恒社長は「距離を伸ばそうと思えばもっと行けるだろう」と笑みを浮かべる。

 ドローンの飛行性能は機体の重さに大きく左右される。谷口社長は開発の初期段階で、軽くて割れにくい炭素繊維を骨格の素材に使うことを決めた。

 そこで壁にぶつかった。主翼や尾翼などの部品を骨格につなぐために、金属製の留め金が必要になるのだ。1カ所当たり20個前後で、その分、機体が重くなるというジレンマに陥っていた。

基盤素材の利益貢献はわずか
●2015年度連結決算の部門別内訳
●2014 ~ 16年度の投資枠と成長投資の内訳

 2014年12月24日のクリスマスイブ。頭を抱える谷口社長の元へプレゼントを持ってきたのは、サンタクロースではなく三井化学の社員だった。新モビリティ事業開発室長の平原彰男氏だ。

 「金属と炭素繊維を一体化できるうちの接合技術をベースに新しい設計を考えるので、試してほしい」

 異なる材料をくっつける接着剤では、工業製品で採用できるほどの強度は得にくいというのが従来の常識。半信半疑だった谷口社長は、数カ月後に驚かされることになる。

 特殊な溶液で金属部品の表面にナノメートル(ナノは10億分の1)単位の穴を開け、そこに接着剤を染み込ませ炭素繊維を接合した試作品を目の当たりにしたからだ。部品点数は128点から8点に減少。重さは半分になり、飛行時間を4割伸ばすことに成功した。